スマートフォンなどの情報機器を持つ年齢がどんどん低年齢化してきています。それに伴って、LINEなどのSNSトラブルが増加しています。今回は、現役教員の視点から、自身の子どもを学内SNSトラブルから守る(被害者にも加害者にもしない)方法をご紹介します。
LINEいじめ等のSNSトラブルは家庭の問題と捉えるべき
この意識が欠落している保護者がかなり多いです。学校内でLINEを使用して、それがトラブルになっているのであれば学校管理下となり話は別ですが、基本的に学校にいない時間にトラブルは起こります。すなわち、家庭の管理下にあるときにトラブルが起こっていますので、根本は家庭の問題なのです。ここを履き違えて、関係者が学校関係(生徒)だからといって全てを学校に押し付けるのは大きな間違いです。
極端な例ですが、あなたがトレーニングジムに通っていて、そこで知り合った人とジムの外でトラブルになったとして、ジムにその解決を依頼しますか?
それでも学校は指導する
職務放棄のようなことを言いましたが、それでも学校はちゃんと指導します。なぜなら、被害生徒や加害生徒のためにならないからです。また、不登校などの別の問題にまで発展してしまいます。両者とも学校で預かっていますので、より良い解決方法を模索して指導にあたります。
ちなみに「SNSトラブルは学校の管轄外です。当事者同士で解決してください。」と割り切っている学校もあります。
どうやって子どもをSNSトラブルから守るのか
スマートフォン等は持たさない
これが最強です。だってSNSできないのですから。「それでは学校からの情報が」と思うかもしれませんが、最近では学校から一人一台端末が渡されていると思います。その端末はアプリなどの制限が強力にされているものですので、基本的にSNSはできないようになっています。
また、保護者のスマートフォン等で学校の情報を得ることは可能なので、スマートフォンが無くても学校生活ではそこまで不便しません。
特に中学生はコミュニケーション能力が未熟でSNSトラブルが頻発します。中学生のスマートフォン保有率は6~7割と言われる時代ですが、デメリットの方が圧倒的に多いので、持たせないことを強く薦めます。
指導する部活動の生徒に高校生でも、家庭のルールでスマートフォンを禁止され、家のタブレットのみが通信手段という生徒がいました。しかし、学校生活に不便はなく、むしろ学業や部活動に集中して充実した学校生活を送っていたように思います。
時間を制限する
事情があり、スマートフォンを持たさなければならない場合もあるでしょう。その場合は家庭内でルールをつくり、使用時間を制限するのも手です。トラブルが起こりやすい時間は主に夕食後から深夜にかけてです。この時間になるとヒートアップする傾向にありトラブルが多くなります。この時間を回避するだけでもかなりの効果があります。
しかし、保護者がそれを管理したり、指導することができないのであれば、スマートフォンを持たせるべきではありません。人を傷つける可能性のある危険なものを渡しているという感覚が必要です。ハサミの使い方を知らない小さな子どもにハサミを渡しますか?
今ではアプリや通信会社の機能としてSNSだけでなくゲームなども強制的に使用を止めさせることも可能ですので、検討してみてはいかがでしょうか?
日頃の子どもとの会話を大切にする
これこそがトラブル回避の本質です。SNSを利用する全員が適切なコミュニケーションをできるのであればトラブルは起こりません。
コミュニケーション能力を育むのは家庭です。日頃の子どもとの会話を大切にして、適切なコミュニケーションとは何かを長年教えてきたのであれば、加害者になることはありえません。
仕事などで多忙になり、子どもと接する時間が短くなってしまうことも分かります。しかしそれでは、子どもに必要なコミュニケーション能力が育ちません。学校もコミュニケーションについて指導はしますが、その根底となる部分は家庭の役割であることは忘れてはいけません。
ケース別SNSとの向き合い方
被害者にならないか心配
スマートフォンを持たせてはいけません。どれだけ保護者が子どもに正しいコミュニケーションを教えたとしても、他の家庭も同様とは限りません。
もしスマートフォンを持っていないことで、学校内でトラブルに発展したのであれば学校管理下ですので、学校が責任を持って対応します。
加害者にならないか心配
スマートフォンを使える時間を制限をし、子どもに正しいコミュニケーションを教えることができるのであれば、お子さんを見守ってあげましょう。それができないのであればスマートフォンは持たせるべきではありません。
先程、スマートフォンを持つことはデメリットの方が圧倒的に多いと言いましたが、数少ないメリットを享受できるのは管理と指導ができる家庭です。適切なSNSの使い方を学べる場になり、今後の社会で活きる力が養えます。
被害者になることも、加害者になることも勉強と思って割り切れる
本当に大丈夫ですか?特に加害者に回ってしまうと学校からの処罰や法的な処罰もありえます。それも含めて割り切れますか?あなたは割り切れても、被害者になった生徒と保護者はそうとは限りませんよ?
管理と指導ができないのであればスマートフォンを持たせるべきではないと思います。
最後に
コミュニケーションの本質は人と人との心の通い合った会話であり、SNSはその道具の一つにすぎないと私は思います。学校でも指導はされますが、子どもの教育に第一義的責任があるのはその保護者です。ぜひ、SNSの使い方を家庭で検討していただければと思います。