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特別支援学校教員の働き方(日常編)

特別支援学校の教員に興味があるんですけど、働き方って一般校と違うんですか?

公立の一般校と同じ雇用形態になるのですが、働き方は結構変わってきます。今回は特別支援学校の教員の働き方(日常編)をご紹介します。

注意

特別支援学校で勤務歴のある私の実体験をもとに話を進めていきますが、知的障害の生徒が中心の特別支援学校(小・中・高)の話です。また、当時とは状況が変わっている可能性もありますので、ご了承ください。

補足

後日、授業編と学校行事編を投稿予定です。それらについては、少々お待ちください。

出勤・準備

支援学校の場合、自力で通学する生徒は少なく、大抵はスクールバスでの通学になります。そうなると早くから生徒が登校することはなく、門が開くまではスクールバス内で待機し、同じタイミングで登校することになります。そのため、出勤時間は全体的に勤務開始時間ギリギリの人が多いです。また、服装もラフなことが多く、通勤時からすでにジャージ姿ということが多いです。

全体の勤務は職員朝礼からスタートします。まず学校全体の連絡から始まり、その後小学校・中学校・高校単位での朝礼、最後に学年の朝礼と細分化されていきます。朝だけで3つの朝礼をこなすのは結構時間がかかります。もし朝礼が長引くようなら門を開けるタイミングを遅くします。そうしないと教員がいない状態で学校に生徒がなだれ込むことになりますので、非常に危険です。

朝礼が終われば門の前にぞろぞろと教員が集合します。教員がある程度揃えば門が開き、生徒との1日が始まります。

学級運営

学年所属の教員は全員どこかのクラス担任をすることになります。一般校でしたら1クラスに1人があてられるのですが、支援学校の場合5~8名ほどの生徒に対して2~3名ほどのクラス担任がいます。数字だけ見れば手厚そうに見えますが、実際は手一杯です。手を離すと飛び出す可能性がある生徒もいます。1人の教員には手が2つまでしかついてないので、2人の生徒までしか対応できません。そう考えると教員×2以上の生徒数というのは、実際回らないかもしれません。

外での学習で教員3人で生徒6人のうち3人が一斉に別方向に疾走したときは、正直詰んだと思いました。

学級の仕事の1つとして、保護者との連絡がありますが、連絡帳を使っての連絡を毎日行います。毎日、生徒1人ずつに対してその日の様子を事細かに記述するのですが、これがものすごく面倒です。文章の量が少ないとクレームにもつながりますし、担任教員間で差があってもいけません。

意識高い系教員と同じクラスになった日には、ライター並みの記述量が求められます。

昼食

昼食は生徒と一緒に給食です。一般校の中高のように職員室で食べれることなんてありません。また、大人だからといって量が多かったり、別メニューがある訳ではありませんので、これだけでは結構お腹が空きます。

仕事終わりに同僚と食べて帰ることが多くなり、逆に太ってしまうことも。

昼食だからといって休憩時間ではありません。むしろ油断してはいけません。食事の介助が必要な生徒もいますし、偏食が激しく全く食べない生徒、食欲旺盛すぎて他の生徒の食事を狙いに行く生徒などがいます。自分が食べる時間もあまりなく、隙を狙って食べる感じです。また、油断していると箸やフォークを振り回す生徒もいて、同僚は眼球を貫かれそうになっていました。

眼球こそ無事でしたが、顔面からは流血していました。

トイレ

自分で尿意を伝えられる生徒もいますが、そうでない生徒もいます。そのため、排泄の介助が必要な時もあります。また、授業前にトイレに行っておくということが難しいので、授業中にトイレに行くことも非常に多いです。1人で行ける生徒でしたら良いのですが、そうでない(1人で排泄が難しい、逃走の可能性や立てこもりの可能性があるなど)場合は教員も一緒にトイレに付き添います。

この頻度はかなり高く、1日の大半をトイレで過ごすことも多々あります。

自傷行為・他害行為

生徒の中には自傷行為や他害行為のある生徒がいます。どちらも注意が必要ですが、他害行為は保護者を巻き込んだトラブルになりやすいので気が抜けません。また他害行為は他の生徒に向けられるだけではなく、教員にも向けられます。そのため、支援学校教員は生傷が絶えず、手や腕には無数の傷が残ります

私自身、支援学校を退職して5年以上が経ちましたが、その時の傷はまだ消えませんし、お酒を飲むと一気にその傷が赤く浮かび上がってきます。

支援学校に勤務していたときはその傷が気になって、よくアットノンを塗っていましたね。結構効果がありますよ。

スクールバス

こちらは教員の仕事ではありませんが、スクールバス内は戦場です。運転手+2人ほどの乗務員で何十人もの生徒の相手をしなければなりません。バス内は生徒同士が密着していることも多く、ストレスに感じる生徒も多いのでよく事件が起こります。それでいて、保護者からはバスの対応が悪いとクレームが入ったりしますが、人を増やせるだけの予算もありませんし、そもそもすでに給料はかなり安いです。こんな状況の中、頑張ってもらっているバスの方には頭が上がりません。

ちなみに、バスの運行ルートなどを考えるのは教員の仕事としている学校もあります。もはやバス会社かとツッコミたくなりますね。

校務分掌

校務分掌は一般校と同等にあります。教諭や常勤講師はなんらかの校務分掌に属することになります。一般校と違いがあるとすれば特別支援を専門にする分掌があり、かなり手厚いことです。支援学校ですから当然ですね。名称は様々ありますが、今回は支援部としましょう。

この分掌は地域の学校に対して特別支援に関するアドバイスをすることも多く、出張が多いというのが特徴です。また、生徒指導上の問題が発生すると、一般校では生徒指導部(生活指導部)が出動すると思いますが、支援学校の場合はそれぞれの障がいに起因することも多いので、支援部も出動します。仕事内容が多岐に渡る忙しい分掌ですが、支援教育を志した教員にとっては最もやりがいがある分掌です

会議

会議は一般校と同等にありますし、一般校同様の審議事項ですのであまり変わりありません。違いがあるとすれば、支援学校は小中高が1つになった学校のケースが多く、小学部会・中学部会・高校部会という会議が職員会議の下に入ります。そのため、1回会議が多くなります

また、職員会議もかなり規模が大きくなるので一般校の職員会議よりはるかに多い人数が集まりますし、人が多い分話がまとまるのも遅いです。

休暇

平時の年休は正直取りづらいです。一般校の場合、授業を振り替えたりして工面することができるのですが、支援学校は空き時間が少ないこともあり、それが難しいです。また、ほぼ全ての授業がチームティーチング(以下TT)ですので、休むと誰かに負担が行きます。これは学級でもそうで、1人休むことによって学級の抑えが効かなくなることもあります。

平時に休暇を取る場合、もし授業や学級が回らない状況が考えられるなら他クラスから応援を要請したり、部主任や教頭などが出動するケースもあります。

土日は、一般校のように部活動や補習もありませんのでシッカリと休めます。ここが支援学校で働く上での最大のメリットかもしれません。私も勤務していた当時は、土日は自分の趣味などを存分に楽しんでいました。

夏休みなどの長期休暇もかなりガッツリ休めます。数日登校日が設定されていたり、PTA行事が入れられていたりしますが、その他は原則生徒は来ません。長期休暇中は授業準備をする時間に充てられ、年休と夏なら夏期特休の範囲内で調整して休みを取ります。年休が消化できないという一般校のような悩みはないでしょう。

退勤

生徒の下校もスクールバスですし、授業に学校内に生徒が残ることはほとんどありません。(自力登校できる生徒が課外活動で残っていることはあります。)一般校のように生徒がいるために定時に帰れないということはありません。しかし、毎日定時に帰れる訳ではありません。学校にはさまざまな業務があります。

支援学校はほぼすべての授業がTTですので、多くのことについて協力する文化が根付いています。放課後の授業準備は自分がメインの授業でなくても、協力して授業準備をしたり、学校行事や学年・学級についても一緒にやろうという空気感があります。一部の意識高い系教員が先陣を切って仕事をしていると、手伝わなければという雰囲気になります。支援教育は親切にやろうと思えば、とことん親切にできるのでキリがありません。そのため、自分の仕事が終わっているのに雰囲気的になかなか帰れないという現象は良くあります

一応、一般校に比べれば早く帰れる環境にはあります。しかし、連帯感から帰りづらいというのが支援学校ですね。

最後に

今回は特別支援学校教員の働き方(日常編)についてご紹介しました。土日はキッチリ休めるが、平日は心身ともにしんどいというのが私の勤務経験からの感想です。支援教育に興味があったり、土日はシッカリ休めるような職場が良いという方には向いているかもしれませんね。次回、特別支援学校教員の働き方の授業編と学校行事編をお送りします。

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