2022年9月にApple Eventが開催され、Appleの新製品6つが発表されました。今回は、その製品が学校現場に与える影響について考察してきます。
発表された6製品とは?
この6製品です。iPhone, Apple Watch, AirPodsのカテゴリーから新製品が発表されました。公式情報はリンク先をご確認ください。では、それぞれ見ていきましょう。
iPhone 14 / Plus
主な変更点
- mini(5.4インチ)が廃止され、Plus(6.7インチ)が新登場
- iPhone 14 Plusはシリーズ最長のバッテリー性能(14 Pro Maxには劣る)
- iPhone 14も13よりバッテリー性能が若干向上
- iPhone14の価格は119,800円~(iPhone13は117,800円~, ※14発表後107,800円~に値下げ)
- iPhone14 Plusの価格は134,800円~
- 色はブルー・パープル(New!)・ミッドナイト・スターライト・レッドの5色(※iPhone13はピンク・ブルー・ミッドナイト・スターライト・グリーン・レッドの6色)
- カメラセンサー向上(暗いところでより綺麗に)
- Photonic Engine搭載
- フロントカメラ(インカメラ)がオートフォーカスに対応
- ビデオ撮影時の手振れ補正機能向上(アクションモード)
- 衛星通信
- 衝突事故検出
円安の影響で最安モデルでも10万円を超えるようになりました。とはいっても、Appleが強欲に値上げしてきたわけではなく、ドルベースではインフレ圧力の中価格を維持してきたので、現地では評価されています。ただただ日本円の価値がなくなってきただけで、日本が勝手に価格を高くしているだけです。
基本的な外観は全モデルのiPhone13と酷似しています。そのため、外観だけでiPhone14と判断するのは新色のパープルかどうかだけです。また、小さなminiモデルが廃止され、大きなPlusモデルが新登場しています。そのため、小さなiPhoneが欲しければiPhone13か12、もしくはiPhoneSEから選ぶことになります。
チップ性能もiPhone13と同じA15Bionicを使用しています。今までであれば、新製品が出るたびにチップ性能が向上していたのですが、今回は新しいA16チップはProモデルのみの搭載となっています。GPUが4コアから5コアに増強されていますので、グラフィック性能は若干向上しています。まぁA15チップでも常人では十分な性能ですので、通常用途であればあまり気にならないとは思います。
カメラ性能も向上し、暗いところでの撮影や、Photonic Engineによる画像処理によってより綺麗な映像をおさめることができるようになりました。また、動画撮影時にはアクションモードによる手ぶれ補正が強化され、より滑らかな映像を撮影できるようになりました。
また、日本ではまだ使うことはできないのですが、衛星経由で通信する機能が追加されました。電波の届かないようなところで遭難したりしたときなど、緊急時に役立つことでしょう。さらに衝突事故検出機能もあり、重大な交通事故が発生したときには、自動で救助要請してくれます。日常で使う機能ではありませんが、命にかかわるような機能を積極的に搭載するのはAppleらしいですね。
学校現場に与える影響
最もベーシックなiPhoneです。外見はiPhone 13とほとんど変わらず、中身は少しパワーアップしています。iPhoneを持つことによって、学習者・教育者ともにiPadやMacと連携させて使うことで、それぞれの良さをさらに引き出すことができます。とはいっても、iPhoneだけではあまり教育業界に影響を及ぼしません。iPadやMacと一緒に使ってナンボです。
機能として教育に活かさそうなのは、動画撮影時のアクションモードです。遠足などの校外で児童生徒と一緒に移動しながら撮影を行うときの手振れは気になるものです。教員は撮影においては素人でしょうから、あとあとその記録を確認するときに手振れが気になることもあるでしょう。それを抑えられるのですから、優秀な機能になります。
iPhone13と比較するとあまりインパクトのある変化がないというのが正直な感想ですね。
iPhone 14 Pro / Pro Max
主な変更点
- iPhone14 Proの価格は149,800円~(iPhone13 Proは144,800円~,※14Proの発表後、販売停止)
- iPhone14 Pro Maxの価格は164,800円~(iPhone13 Proは159,800円~,※14Pro Maxの発表後、販売停止)
- 色はディープパープル(New!)・ゴールド・シルバー・スペースブラック(New!)の4色(※iPhone13 Proはアルパイングリーン・シルバー・ゴールド・グラファイト・シエラブルーの5色)
- ノッチが変化し、ダイナミックアイランドにディスプレイと連動して動き、液晶にもなる。
- チップがA15BionicからA16Bionicに強化
- 常時表示ディスプレイ
- 2000ニトの輝度(屋外でさらに明るく)
- センサーサイズが大型化(12MP→48MP)
- Photonic Engine搭載
- フロントカメラ(インカメラ)がオートフォーカスに対応
- ビデオ撮影時の手振れ補正機能向上(アクションモード)
- シネマティックモードで4K動画の撮影が可能に
- バッテリー
- 衝突事故検出
ほとんど変化がないのでは?と言われてきたiPhone14 Proですが、結構変化がありましたね。特に注目したいのが、ダイナミックアイランド(Dynamic Island)と常時表示ディスプレイ、48MPを可能にするセンサーです。
iPhone Xシリーズから登場し、当初は不評だった画面上部のノッチがついに変化しました。しかも、ただのパンチホイール型ではなく、画面と連動して動くダイナミックアイランドとなり、あらゆる情報を浮かび上がらせることができます。このイノベーションには驚かされましたね。
常時表示ディスプレイはiOS16(9/13リリース)で追加されるロック画面編集機能を合わせることで力を発揮してくれることでしょう。わざわざiPhoneに触ることなく情報や通知、時刻などを確認できるのは便利な機能です。ロック画面の編集次第では、利便性は格段に向上することでしょう。
カメラ機能ではセンサーサイズが大型化し、12MP(1200万画素)から48MP(4800万画素)に向上しています。これによってトリミングの自由度が上がるとともに、光学2倍望遠ズームも可能になりました。(iPhon13 Proだと1倍 or 3倍のみで、その間はデジタルズームでした。)残念ながら望遠レンズの強化はありませんでしたが、Photonic Engineによる画像処理など魅力的な機能が詰まっています。
今までProと無印は望遠レンズの有無ぐらいしか目立った差がありませんでした。しかし今回はチップ性能はProのみ向上し、センサーサイズも変えてきました。今まで以上にProシリーズの差別化を図ってきた印象です。
学校現場に与える影響
無印よりもかなり魅力的になったProですが、教育という観点ではそこまで差はありません。アクションモードによる動画撮影はiPhone14と共通ですので、これに望遠がつくという点が学校行事などでの撮影の幅が広がるところではないでしょうか。
発表前は買わまい、買わまいと思っていましたが、現在すごく心が揺れています。このイノベーションには惹かれますね。
Apple Watch Ultra
主な変更点
- Apple Watchシリーズに新しくUltraが登場
- 49mmでAppleWatchシリーズでは最大サイズ(常時表示のRetinaディスプレイ)
- チタニウムケースにフラットサファイヤガラスで強固な耐久性
- Digital Crownとサイドボタンが大型化し、手袋をしていても扱いやすく
- 側面にアクションボタンを追加
- 高精度2周波GPS搭載
- デュアルスピーカー
- 86dBのサイレン
- 100m耐水性能(従来の2倍)
- 水温センサー搭載の水深計
- 2000ニトの輝度
- 最大36時間のバッテリー
- 血中酸素等のアプリは全て利用可能
- 皮膚温センサー
- 新たに3つのバンドが追加
- 価格は124,800円〜(セルラー+GPSモデルのみ)
Apple Watchをハードな環境で使いたい方向けの最も頑丈なApple Watchが登場しました。これでもかというぐらい性能が高く、満足度の高い製品となっています。
学校現場に与える影響
教育に与える影響はかなり限定的です。これだけの高性能なAppleWatchを使いこなせる環境にある人はほとんどいないでしょう。趣味で過酷な環境に行くことがあるような方だと選択肢に入るでしょうが、普通の学校生活・教員生活を送るのであれば、これだけ高額でハイスペックなモデルは必要ありません。
新しいジャンルのApple Watchです。最高の性能と価格で、その他のApple Watchとは一線を画す存在です。
Apple Watch Series 8
- S7 SiPチップからS8 SiPチップに(ただ、性能はほぼ変化なし。ちなみにS6 SiPともほとんど同じ)
- アルミニウムモデルの色がミッドナイト・スターライト・シルバー(New!)・レッド(※Series7はミッドナイト・スターライト・グリーン・ブルー・レッド)
- ステンレスモデルの色がグラファイト・シルバー・ゴールド(※Series7はグラファイト・シルバー・ゴールド)
- チタニウムモデルが廃止(チタニウムはApple Watch Ultraへ)
- 皮膚温センサー
- 衝突事故検出
- 価格は59,800円~(※前モデルのSeries7は58,800円~)
目玉は皮膚温センサーと衝突事故検出の2つです。その他は全モデルのSeries7とあまり変わりはありません。
皮膚温センサーは体温計とは違い、皮膚表面の温度を測定してくれます。Appleとしては女性の利用を想定しているようで、月経周期をより深く管理することができ、排卵予定日などを皮膚温度から予想してくれる機能までつきます。
衝突事故検出は車での重大な衝突事故が起こった場合、反応がなければ自動で緊急通報をしてくれる機能です。もしもの時の機能ではありますが、車を良く運転される方には安心の機能となるでしょう。
機能の追加はありますが、ほとんど前モデルから変化はありません。女性や車の利用が多い方は検討しても良いかもしれませんが、それ以外の方はSeries7やSE(第2世代が)オススメです。
学校現場に与える影響
今回追加された機能で教育に役立つものはほぼありません。特定の方には便利な機能が追加されてはいますが、多くの方には不要でしょう。とはいっても、Series7はAppleのオンラインストアでの取り扱いをやめたので、常時表示ディスプレイ搭載のApple Watchが欲しいとなればSeries8を選ぶことにはなります。
Apple Watch SE(第2世代)
- 色はミッドナイト(New!)・スターライト(New!)・シルバー(※第1世代はスペースグレー・ゴールド・シルバー)
- 背面も同系色に
- チップがS5 SiPから一気にS8 SiPへ変化(20%高速化)
- 衝突事故検出
- 価格は37,800円~(※第1世代は40,800円~、現在は販売無し)
Apple Watchのエントリーモデルという位置づけのSEシリーズが第2世代になりました。カラーも一新し、背面まで同じ系統の色で包まれていますのでデザイン性は格段に良くなりました。
チップ性能は一気に3世代分アップして、最新のApple Watch Series8やApple Watch Ultraと同じS8 SiPを搭載しています。まさかのエントリーモデルが最上位機種と同じチップを積んでいるのは驚かされるところです。S8 SiPがS6 SiPとほとんど性能が変わらないので、劇的な進化とまではいきませんがエントリーモデルとは思えない性能を持っています。
反面、アプリ面は抑えめです。第1世代と使える機能はほとんど変わらず、衝突事故検出が追加されたぐらいです。「常時表示ディスプレイが搭載されるのでは?」と噂されましたが実装されず、常時表示ディスプレイや血中酸素濃度測定、心電図、皮膚温センサーなどが欲しいならSeries8を選ぶことになります。
価格は抑えられていて価格改定後の第1世代SEより安くなっています。第1世代SEが発売されて2年ほどたちますが、そろそろバッテリーもへたってきて買い替えを検討している人も多いのではないでしょうか。
長年ラインナップに鎮座し続けてきたSeries3はこの度姿を消しました。これでエントリーモデルはSEに一本化されましたね。
学校現場に与える影響
Apple Watchは便利な機能がたくさんついていて、教育に活用できる機会が多くあります。今回追加された機能で直接教育に関わるものはありませんが、SEはApple Watchのエントリーモデルとして重要な位置づけになっています。性能が向上し、デザイン性や使いやすさが上がっていますので、Apple Watchを教育現場で利用したいと思う方はまずSE(第2世代)から検討してみるのが良いですね。
Apple Watchの教育現場への活用は以下の記事もご参考にしてみてください。
AirPods Pro(第2世代)
- チップがH1からH2になり、より高性能に→音質の向上、1回の充電で6時間使用可能に
- アクティブノイズキャンセリング搭載(従来の2倍の性能)
- スワイプで音量の調整が可能に
- 適応型環境音除去(サイレンや電気工具などの騒音をカット)
- イヤーチップの改良
- MagSafe充電に対応
- 価格は39,800円(第1世代は38,800円)
旧モデルから順当に進化したAirPods Proが登場しました。チップ性能向上により、音質の向上と省電力化を実現しました。音質が気になる方は実店舗で試すのがよいでしょう。ノイズキャンセリング性能が従来の2倍というのも気になる点です。第1世代のAirPods Proでは抑えきれないノイズは存在していましたので、どこまで抑えることができるのかは期待がかかります。
外部音取り込みモードが適応型環境音除去に変わっています。従来の外部音取り込みモードは完全に外の音を通していたのですが、適応型環境音除去になり聞こえ方にどれだけ違いが出てくるのか楽しみです。総じて性能面はかなり向上されています。それでいて価格はほとんど変わっていないのが良いですね。
学校現場に与える影響
教員目線だと、職員室の騒音の中でオンライン会議に参加するときなどノイズキャンセリングが活きる機会はありましたが、第1世代のノイズキャンセリングで十分な性能でした。これ以上の性能は不要かというとそういうわけでもなく、通勤通学時の騒音レベルになるともっとノイズキャンセリングを効かしたい瞬間があります。通勤通学時の動画視聴やリスニング学習などで使っている人にとっては待望の進化ではないでしょうか。
これは買いではないかな?特に私の場合は地下鉄の爆音(換気のため窓を開けて走行)がノイズキャンセルをぶち抜いて耳に届いているので、結構大音量でないと集中できませんでした。これには期待ですね。
Apple製品を安く買うには?
Apple製品はお得に購入することが可能なのです!私の場合だと、新製品であっても20%オフぐらいで購入できていると思います。詳しくは下の記事をご参考にしてください。
【2023年最新】Apple製品を安く買う3つの方法最後に
9月のAppleEventはiPhoneの発表があるだけあって、かなり盛り上がりますね。また今回だとAirPods Proなんかが私的には狙い目ですので、予約合戦に参加してみようかと計画中です。