企業型確定拠出年金(DC)を導入している企業は多くあります。しかし、投資についての知識がない状態で選べと言われても難しいですよね。今回はDCでどの投資商品を買うのがオススメなのかをリターンとリスクとともにご紹介します。
企業型確定拠出年金(DC)とは?
企業型確定拠出年金(DC)とは、掛け金を企業側が拠出してくれ、それを従業員が運用することができる制度です。年金として拠出してくれますので、受け取れるのは退職後になりますが、運用成績次第では拠出額以上のリターンが期待できます。
DCにもさまざまな種類がありますので、詳しくは投資信託協会のこちらの記事をご覧下さい。
信託報酬は要チェック!
DCの場合、ある程度良心的な商品が並んでいるとは思いますが、それでもファンドによって良し悪しはあります。その最たるものが「信託報酬」です。ファンドを運営する上での手数料・運営費と思ってもらって結構ですが、ファンドによってかなりの差があります。
信託報酬が高いからといって良い仕事をしてくれるとは限りません。私の感覚では以下のような感じです。
- 信託報酬0.1%未満:超優良ファンド
- 信託報酬0.1~0.2%未満:優良ファンド
- 信託報酬0.2~0.5未満:普通ファンド
- 信託報酬0.5-1.0%未満:高額ファンド
- 信託報酬1.0%以上:ボッタクリファンド
同じような商品が並んでいるようであれば、信託報酬が安いものにした方がリターンを大きくできます。ただ、DCの場合だと選択肢が少ないため、信託報酬が高めのファンドを選ばざるをえないこともあります。このあたりはやむなしといったところでしょうか。
どの商品にするのがいい?
では、よくラインナップされる商品を見ていきましょう。
定期預金
銀行に定期預金という形で着実に積み立てていくのがこちらの商品です。元本保証がされているため、リスクはほとんどありません。強いて言うならリターンもかなり少ないので、物価上昇ペースに劣ってしまうと(というか劣ります)、相対的にマイナスと考えることができます。
今の日本は年2%の物価上昇を目標にしていますので、年利2%ないとインフレに負けてしまいます。守備力は非常に高いので、絶対に元本割れしたくない方や、定年前で利益を確定させたい方が使うと良いかもしれませんね。
保険
保険会社にお金を預けるのがこちらで、保険と言っても生命保険や医療保険とは異なります。運用元が銀行から保険会社に変わるだけです。
リターンは定期預金よりは若干良い程度で、他の商品と比べるとリターンは極小です。期間や金利によってリターンは異なりますが、長期間の方がリターンは大きくなります。それでも、元本保証があることもあり、雀の涙程度です。また、満期を待たず違う商品に乗り換えた場合、解約料を取られることが多いので使い勝手も悪いです。
国内債券型
国内債券を直接購入するのではなく、国内債券を購入するファンドに投資をすることになります。そのため、ファンド運営のための信託報酬が発生します。また、価格変動は小さめですが、元本割れのリスクもあります。
日本の債券は安全性は高いのですが、その分ほとんどリターンがないので大きく増やすのにも不向きですので、あまりオススメできません。
外国債券型
国内債券型と同じくファンドに投資します。外国債券は日本株よりリスクは高くなりますが、リターンも大きいのが特徴です。といっても、株より値動きは小さいです。
また外国債券といっても様々で、どこの国の債券を購入するのかによってリスクとリターンが違います。先進国だとリスクとリターンがやや低く、新興国だとやや高くなります。このあたりはよく確認して投資する必要があります。
外国債券に投資するなら、先進国の債券がちょうどいいかなと思っています。私なら新興国の債券に投資するぐらいなら、先進国の株式に投資します。
国内株式型
リターンはあまりないのに、リスクは一丁前なのが国内株式です。株式投資の場合、インデックスとアクティブの大きく2種類の投資方法があります。インデックスは市場の平均(指数)に投資する方法で市場全体に満遍なく投資します。国内株式の主な指数は日経平均・TOPIXなどです。
対してアクティブはテーマなどを設定して、特定の株式に投資する方法です。一般にインデックスとアクティブならインデックスの方が勝率が良いと言われていますし、信託報酬もインデックスの方が安い傾向にあります。
しかし、日本の株式はかなりしんどい状況が続いています。何と日経平均は30年以上前につけた最高額を未だに超えることができていません。すなわち歴史的にもあまり期待できない状態が続いています。それに日本の未来を考えても、少子高齢化がさらに進行し日本の人口が減少の一途を辿るのは明白です。優良な企業は中にはあるのですが、DCの場合それをピンポイントで購入することができないのが難点です。
あくまで現状のお話で今後日本の景気が爆発的によくなる可能性はあります。ただ、今までの政権の力ではそれが叶っていないというだけの話です。経済感覚に優れた方や政党がリーダーになればこの流れも変わるかもしれませんね。
岸田ショック恐るべし。
外国株式型
リスクも大きいですがリターンも大きいのが海外株式です。こちらもインデックスとアクティブの2つがありますが、インデックスの方が無難かつオススメです。
主な指数は米国ならダウ・S&P500・NASDAQなどがありますが、DCではあまり米国のみを扱うファンドは見当たらないと思います。そうなるとやや幅広い投資にはなりますが、日本を除く主要な先進国に投資する「MSCI-KOKUSAI」や、全世界に投資する「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」などが有名どころになります。
世界的に見れば中国を含めた多くの国において今後人口が減少すると予想されている中、米国は力強く人口が増加し続けると言われています。そういう将来性においても米国に比重を多く置いているファンドは非常に魅力的です。(意図的に米国を抜いていない限り、米国を含むファンドのほとんどは米国の比重がかなり高くなっています。)
人口増加が期待される新興国ですが、個人的には新興国は不要かなという考えです。地政学的リスクが高いため、リスクよりリターンが上回る印象です。
バランス型
国内外の債券と国内外の株式を混ぜて、バランスよく運用しようというのがこのバランス型です。比率は商品によって異なり、債券重視・均等・株式重視のように分けていることが多いです。
株式にはインデックスとアクティブがありますが、バランス型は比率をいじっている以上アクティブとして考えて良いでしょう。そのため、信託報酬が高いファンドも存在しますので、要チェックです。
ただ、バランス型と言えば聞こえは良いですが、悪く言えばどっちつかずです。株式が強い状況では債券が足を引っ張り、債券が強い状況では債券が足を引っ張りますので、歯痒さを感じるかもしれません。(下落局面ではどちらかが救ってくれるとも考えられますが…。)
そして、バランス型で最もオススメできないのが、バランス型ファンドの商品を2つ以上買うことです。ハッキリ言って何がしたいのか分かりませんし、自分が何に投資しているのかが分からなくなります。詳しくはトウシルの記事が分かりやすいと思います。
筆者が考える戦略
ここからは、あくまで私の戦略です。皆さんの置かれている状況や年齢、世界経済の状況に大きく影響を受けます。投資に正解はありませんので、その点を了承していただき、一例としてみていただければと思います。
- 20代から40代:海外株式(できれば米国のみ、もしくは日本を除くファンド)
- 50代から定年まで:海外国債 or バランス型債券重視
これが私の思い描いている戦略です。若いうちはリスクが取れますので、最大限のリターンを狙います。そしてリターンが大きくなってきたところで債券中心に切り替えてリードを保ったままゴールというのが理想ですね。まあ現実はそう甘くないでしょうが…。
最後に
DCを導入している企業の場合、内定が出て入社する前の段階でどの商品にするか聞かれることになります。特に金融の知識がない状態で決めるのは難しいですよね。そんな方はぜひ参考にしてみて下さい!
私は私立学校教員ですが、私立学校のいくつかではDCを導入している学校がありますね。公立の学校には無い文化です。