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2023年2月教育ニュースまとめ

2023年2月にあった教育に関わるニュースの中から気になったものを、現役教員の筆者の視点からお伝えします。

成績データ管理にクラウド活用へ 教員宅で処理、業務効率化

 公立学校運営の情報化を議論する文部科学省の有識者会議は24日、成績や出席などのデータをクラウドで管理するとの提言案について議論した。職員室のパソコン以外に教員の自宅からアクセスしてデータ処理ができれば業務効率化につながるとする。文科省は、2025年度から本格的に普及を促していく方針だ。

 文科省によると、児童生徒のデータを管理する現在のシステムは、学校・教育委員会以外とのネットワークを遮断するケースが多い。昨年9月時点の文科省調査では、クラウドで運用する教育委員会は14%にとどまる。個人情報流出を警戒しているためとされる。(共同通信

便利ではありますが、本当に導入していいのか?というニュースがこちらです。

クラウドの技術を活用し、成績データをクラウド上で管理して、自宅のパソコンからもアクセスできるようにし、業務の効率化を図ろうと文科省は方針を出しました。ただ、自宅からアクセスできるのは確かに便利ではあるのですが、自宅からのアクセスは完全に時間外労働です。ただでさえ、定額働かせ放題と揶揄されている劣悪な労働環境にあるのに、自宅での仕事に誘導していくのは世の流れに逆行します。

大変便利な技術なのは分かりますが、時間外労働にはちゃんと対価を払うこと、または勤務時間内のリモートワークとして活用など整備すべきことはたくさんあります。

残業代支給か、調整額アップか、手当増か… 自民が教員給与改善案

 文部科学省が今年、公立学校教員の給与制度見直しの議論を本格化させるのを前に、自民党が三つの具体案を検討していることが分かった。自民党は今春、提言をまとめて政府に提出する方針で、文科省の制度設計に大きな影響を与えるとみられる。

 公立学校教員の給与は、教職員給与特措法(給特法)によって、基本給の4%が「教職調整額」として上乗せされる代わりに、残業代は支給しないと規定されている。どれだけ働いても残業代がなく、「定額働かせ放題」の仕組みと批判されている。

 文科省は制度の見直しを検討するため、2022年度、公立小中学校などに勤める教員の時間外在校時間や休日の部活動指導時間を把握する勤務実態調査を実施。今春に結果の速報値を発表する予定だ。

 一方、自民党は昨秋に元文科相の萩生田光一政調会長をトップとする「令和の教育人材確保に関する特命委員会」を立ち上げ、文科省の勤務実態調査の結果発表に前後して提言をまとめる方針だ。

 党関係者によると、委員会では現在、三つの案が水面下で検討されている。一つ目は、給特法を廃止し、会社員と同じように時間に応じた残業代を支給するというものだ。

 二つ目は、給特法を維持しつつ、現在は基本給の4%となっている教職調整額を十数%まで引き上げるというもの。

 三つ目は、この二つの「折衷案」だ。給特法を維持し教職調整額については4%から数ポイント引き上げたうえで、学級担任や部活の顧問を務めたり、主任の職に就いたりしている教員に相応の手当を上積みする。

 文科省は今夏以降、中央教育審議会(文科相の諮問機関)に給与体系の見直しを諮問するとみられ、自民党の提言が議論に大きな影響を与えそうだ。(朝日新聞デジタル

公立学校の教職員は残業代が出ない代わりに、給特法という法律で教職調整額として給与の4%分支払われることになっています。しかし、この4%という割合が決められる根拠となったのが、1966年に実施された調査で、教員の残業時間が月8時間程度というデータを元に算出されたものです。しかし、現在の教員の平均残業時間は月100時間と言われていますので、4%では全く割に合いません。

さすがにこれはブラックすぎると、給特法の見直しが検討されています。記事には候補は3つとされていますが、個人的には、教員の労働環境を改善し、教員不足を解消するには、1案の給特法を廃止し、残業代を支払うことしかないと考えています。それ以外の案は結局は定額働かせ放題が維持されますので、やった感だけで解決には至らないでしょう。

しかし問題は財源です。残業代を支払うとなった場合、超高額の費用が必要になります。それを払えるだけの財源はおそらく確保できないでしょう。そうなってくると教職調整額を少し上げただけの残念なものができあがってしまいそうな予感がしてなりません。

時間外労働にはきちんと残業代を支払い、財源不足に陥らないよう残業をしなくても良いような仕事量に調整していくことも同時にしていかなければなりませんね。

「担任がいないままの新年度スタートは避けて」沖縄で教員不足が加速135人

 県内の公立小中高校と特別支援学校の教員が、1月時点で135人不足していることが22日、分かった。昨年10月から39人増えた。県議会2月定例会で半嶺満教育長が明らかにした。玉城ノブ子氏(共産党)への答弁。県教育委員会は4月の未配置解消に向け、教員免許を持っている人材の掘り起こし対策を進めている。(社会部・松田駿太、下里潤)

 未配置の内訳は、小学校53人(昨年10月比14人増)、中学校42人(同11人増)、高校24人(同8人増)、特別支援学校15人(同5人増)で、いずれの校種でも未配置が増加している。養護教諭の未配置も中学校で1人いた。

 ■病休や出産 代替を確保できず  学校人事課の担当者は未配置の増加について、病気休職や出産などで学校を離れる教員の代わりになる臨時的任用職員が確保できていないと説明。県教委は、未配置を解消するため2022年度の正規職員採用試験で、採用人数を前年度から大幅に増やすなど対策を打ってきた。また、教員免許を持っている人を対象に2月に実施したペーパーティーチャーセミナーを、3月にも本島1カ所と宮古・八重山の3カ所で実施予定。関係機関への周知や臨時的任用職員を検討している人へのオリエンテーションを開くなど、潜在的な人材の掘り起こしを続けている。

■「働き方改革を進めるしかない」   担当者は「4月1日に未配置がない状態になるように努力をしていきたい」と話した。県教職員組合(沖教組)の上原邦夫委員長は「どこを探しても教員が見つからない状況で心苦しいが、新年度に担任がいないままスタートする状況は避けてほしい」と注文。教職に就きたくても長時間労働を危惧する人は多いとし、「働き方改革を進めるしかない。県教委が先頭に立って業務を見直す強い方針を打ち出してほしい。仕事量が減れば病休者も復職しやすいはずだ」と強調した。(沖縄タイムス

沖縄で教員不足が深刻で、新年度担任不在でスタートしてしまう可能性があるというニュースです。沖縄に限らず全国的な傾向ですが、教員という仕事が過酷ということはネット社会の影響もあり多くの人に知れ渡っています。そんな中、教員を志そうとする人はあまりおらず、教員不足が加速しています。

ちなみに、沖縄県の教員採用試験は全国的に見れば高倍率です。そう、教員採用試験に志願している人はいるのに、採用していないのが現実なのです。これには正規として雇うための財源が影響していると言われています。雇いたいのに財源がなく雇うことができない。しかし、教員は不足しているので安く雇うことができる非正規雇用の常勤講師や非常勤講師で採用したいが、それでは教員不足を埋められないというのが現状でしょう。

国民 使いみちを限定「教育国債」発行できる法案 参院に提出

 子育て支援の充実に必要な財源を確保するため、国民民主党は教育や科学技術に使いみちを限定した「教育国債」を新たに発行できるようにする法案を参議院に提出しました。

 国民民主党は、児童手当などの所得制限の撤廃や、高校卒業までの教育費の無償化などを実現したいとしています。
 必要となる財源を確保するため、国民民主党は、教育や科学技術に使いみちを限定した「教育国債」を新たに発行できるようにする法案を参議院に提出しました。
法案は去年の通常国会にも提出しましたが、廃案となっていました。
 大塚政務調査会長は「財源がなくて小出しの子育て政策では『絵に描いた餅』になってしまう。人材を育てることは未来への投資にほかならず、国債で財源を調達することの整合性は十分にある」と述べました。(NHKニュース

今月のニュースはお金に関わるニュースが多いです。教育に関わる財源を確保するための教育国債を発行するための法案が提出されました。しかし提出したのは野党の国民民主党で、与党の自由民主党ではありません。そのため、提出はされたもののおそらくボツになるのでしょうね。

はたして政府はどのようにして教育に関わる予算を集めるのでしょうか。おそらく増税に次ぐ増税で集めようと試みるのでしょうが、果たしてその集めた税金のどれだけが子どものために使われ、どれだけの税金が中抜きされるのでしょうかね。

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