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学校のブラック体質は離職者が大量に出ないと変わらない

#教師のバトン」問題

私もよくこのハッシュタグをつけてつぶやきますが、現役教員の叫び声が聞こえます

#教師のバトンは文部科学省が発案したもので、もともとの目的は以下の通りです。

教職を目指す学生や社会人の方に、現職の教師が前向きに取り組んでいる姿を知ってもらうことが重要です。教職の魅力を上げ、教師を目指す人を増やす。

なんとも崇高な目的ですね。教員の募集活性化のために現場の教員にも協力してもらい、教職の素晴らしさを伝えようと思ったのでしょう。しかし、その思惑は外れることとなりました。現場の教員の悲痛な叫びが集まり、むしろネガティブキャンペーンと化しました

そして、火に油を注ぐかのように萩生田元文部科学大臣の「学校の先生ですから もう少し品の良い書き方をして欲しいなと」発言。見事に再炎上を果たしました。

このように教員の学校現場の労働環境改善の声が大きく上がるのですが、一向に改善されません。では、なぜこの労働環境が改善されないのでしょうか?

労働環境が改善しない理由

主な理由は以下の5つでしょうか。

  • ブラックでもとにかく教員が辞めない
  • 労働環境改善のリーダーシップを取る人が複雑ですぐに入れ替わる
  • 労働環境改善にはお金がかかる
  • そもそもお金をかける気もない
  • お友だちの企業などにお金を抜けない

5つ中3つにお金が絡む異様な光景ですが、見ていきましょう!

ブラックでもとにかく教員が辞めない

なんと、学校教員は労働環境が悪くても、働き続けてくれるんです!一般企業なら大量退職の危機ですが、教員はそれでも辞めないんです。本当に良いカモですよね。文句は言っても辞めないんですから。

なぜブラックなのに教員は辞めないのかはこちらの記事をご参考にしてください。

ブラックなのに多くの人が学校教員を辞めない5つの理由

労働環境改善のリーダーシップを取る人が複雑ですぐに入れ替わる

一般企業であれば、誰がリーダーシップを取るのかがハッキリしていて、それでいて長い期間その座にいると思います。そのため、何かを変えるのにもスピード感があり、信頼関係もできているのでスムーズにことが運びます。そして、その改革により従業員の労働環境が変われば、それが更なる信頼に繋がります。

しかし、学校現場はリーダーシップを取るべき人が校長だけではありません。教育業界は非常に複雑な構造になっていて予算を決めるところ、採用を決めるところ、働き方を決めるところ、現場を指揮するところが別々の場所にあるので、非常に難解です。そして、現場の実状を知らない人も多く、それが伝わらないので改革が遅れます。

また、それらの決定権がある部署にいる人も入れ替わりが激しく、自分の任期で完結できるとは限りません。仕事を削減するにしても各部署への根回しにかなりの時間が必要なので、自分一人で解決できる問題ではないのが厄介ですね

評価体制も不明瞭で、新しいことをしたこと(仕事を増やしたこと)は評価されるのに、仕事を削減したことは評価されにくいのかもしれませんね。

労働環境改善にはお金がかかる

学校の労働環境が悪い理由の多くは、少ない人員で多岐に渡る仕事をさせているからです。仕事を適切に分割し、それに適切な人員を割けばほとんどのことは解決できるのです。では、必要な追加の人員を考えていきましょう。

まずは教職員ですね。授業や校務分掌を軽減するために、今の1.2倍ほどの人員があれば適正な仕事量になるでしょう。校務分掌の掛け持ちをさせている学校はよくあります。

事務職員の人数も増やしたいですね。事務の仕事も教員がやっていることが多く、非常に大変です。教育のことだけに集中できるような環境にするためにも、事務職員は今の1.5倍は欲しいですね。

部活動指導員も必須です。教員の時間外労働の原因は部活動です。部活動指導員がいれば定時帰宅がしやすく、生徒もより専門的な指導を受けることができます。教員と同じ数だけ雇用しましょう。

これが全部達成できれば教員の労働環境は格段に改善します。しかし、これだけの人件費をどこから捻出するのでしょうかね?機械のように一過性の出費ではなく、終身雇用を前提とする雇用でないと本質的な解決に至りません。現に非正規雇用に頼り切っている学校現場でそれだけの予算がつくのか怪しいです。

そもそもお金をかける気もない

雇用するお金がありません。原因は分かっているのに、その予算がつきません。

一般企業であれば労働環境が改善して、従業員の生産性が上がれば新たな利益を生み出すのですが、学校は教員に余裕が生まれても利益が増えるわけではありません。私立であっても、定員さえ埋めてしまえば利益は一定です。すなわち労働環境改善に費用を使っても費用対効果が悪いのです。これが予算がつきにくい原因の1つです。

また、政治家も分かりやすいところに予算を使い、国民や支持者から評価を得たいと思っています。教員の数を増やして労働環境改善をするという分かりにくいことに予算を回すよりは、「10万円給付します!」「旅行の費用を補助します!」「生徒1人1台の情報端末を持つ費用を補助します!」のような結果が分かりやすく(お友だち企業や団体に)評価されやすい方に予算を回すのです。

日本は世界的に見ても教育にお金をかけない国です。世界各国のGDP比に占める教育費の割合を見てもらいましょう。

このようにOECDの平均を下回り、世界と比較しても日本は教育にお金をかけていません。そして、お金をかけないことによる不利益は現場で働く教員だけでなく、そこに通う子どもたちにも影響を及ぼしています。

純粋に国が子どもに投資していないこともありますが、劣悪な環境に耐えかねた優秀な教員が教育の場を離れたり、一部の労働環境が整った私立学校などに移るからです。また、優秀な学生が教員を志さなくなることによって、質の良い教員も補充もされません。

このように、国に教育的への投資が期待できないので、子どもの教育への投資は各家庭にかかっています。現に裕福な家庭ほど、子どもの教育にお金をかけれますので、子どもの学歴であったり、生涯賃金に大きな差が生じているのはあまりにも有名な話ですね。

多くの政治家は、子どもたちよりも自分達に投票してくれる高齢者や支持者たちによりお金が行き渡るように努力するのです。

お友だちの企業などにお金を抜けない

教育の予算を決めるのは国であり政治家です。何度も言いますが、政治家は自分を支持してくれる国民、特に投票してくれる有権者や経済的に支援してくれる支持者や企業のために活動します

教育現場でもその傾向は強く、お友だちの企業が儲かるようなことはすぐに決まります。労働環境改善でも、こちらとしては単純に仕事を減らしてくれれば良いだけなのに、「◯◯を使って業務改善」という◯◯の部分が追加されます。ここに予算を使って、中抜きをし、教育現場に使わせるのです

最近でも、教員免許更新の廃止が決まりましたが、新たな研修が追加されるそうです。この新たな研修に研修費用と称して中抜きをするオーラを感じるのは私だけでしょうか。

単純に教員の数を増やしてくれれば済む案件も多いのに、正規教員や正規事務職員を増やさずに非正規を増やしてお友だち企業の人材派遣会社が中抜きしやすくしたりするのもその例ですね。お友だちの企業が儲からない労働環境改善は、ただただ税金を使うだけで、政治家とお友だち企業にとって利益とならないのです

また、部活動を辞められないのも裏にお友だち企業のにおいがします。学校から部活動が無くなり、外部でスポーツをする世界がやってきたと考えましょう。まず、外部でまで課外活動をしようと思う生徒はそこまで多くありません。それに伴い、スポーツ用品や楽器などの販売数は激減します

また、大会も開催できなくなるでしょう。特に運営が困難になります。大会の開催に関わる人員の多くは顧問たちのボランティアによって成り立っています。部活動顧問がいなくなると、これらをボランティアではなく、新規に雇わなければなりませんし、人員を確保し開催できても利益が出るのかは怪しいです。利益がでなければ開催が困難になり、放映権が欲しいメディアにも不利益が生じてしまいます

いままで、ボランティアで搾取してきた労働力のツケを清算する日はくるのでしょうかね。

本気で改善させるには運営困難な状況に陥れるしかない

いよいよ本題です。学校がこの悪条件のまま放置されるのは今のままでも運営できて、お金をかけなくても、人は集まり、辞めないのが原因ですこれを断ち切るために、教員が退職するしか方法はありません

この悪条件は割に合わないと現役教員は退職し、新規で教員を目指そうとする人が定員割れし続ける未来がこないと、この劣悪な労働環境に気づかないのでしょう。臨時採用でも、給料や労働環境が割に合わないと募集しても集まらない世界線がやって来なければなりません。

子どもたちには申し訳ありませんが、国が推奨している「自助」で学校外の教育施設や一部の労働環境が整った私立学校を利用してもらいましょう。もとから国にはあまりお金をかけてもらっていないので、その下地はできているでしょう。それだけ学校の労働環境は危機的な状況なのです。ここで、子どもたちが可哀想だから」と自己犠牲に走るから良いカモのままなのです

はじめの一歩を踏み出すのは大変な勇気が入ります。自分が退職したところで他が続かなかったら、完全に無駄死に状態になってしまいます。そこはリーダーシップをとる組合や、影響力ある人が集団離職を敢行し、また企業などもその受け皿となることが求められます。ザックリと教員の4分の1程度がいなくなるだけで学校は崩壊します

退職した教員の受け皿は欲しいですね。教員には非常に優秀な方がたくさんいます。その優秀な人材を手に入れることができれば、色々な事業が効率よく展開できることでしょう。スムーズに転職に導いてくれて、学校での経験などを活かせるビジネス、給料も学校並みに出るような企業が現れれば、一気にことは進展するのになと思っています。

最後に

学校は従順な労働者である教員によって支えられています。この力がなければ成り立ちません。現状、学校の経営は教員の奉仕の精神で成り立っています

国や自治体は教員の大量辞職がないものと高を括っていますが、誰かが行動しない限りこの悪い労働環境を変えることができません。ぜひとも国や自治体にこの事情を受け止めて、早急に改善に努めてもらいたいですね。もしできなければ学校運営ができなくなる最悪の事態はすぐそこまで来ていますよ!

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