大阪府には私立学校の高校入試について、出題範囲を指定してくる団体があるのです。それが、豊能地区進路保障協議会です。今回はこちらの協議会についてのお話です。
豊能地区進路保障協議会って?
豊能(とよの)地区とは、大阪府にある豊中市・箕面市・池田市・豊能郡(豊能町・能勢町)の総称です。大阪では北西寄りに位置していて、兵庫県に近い地域です。ちなみに三島地域(吹田市・茨木市・高槻市・摂津市・三島郡島本町)と合わせて北摂地域とも呼ばれるエリアで、大阪では子育て世帯には大人気のエリアになります。
そんな豊能地区にあるのが豊能地区進路保証協議会で、豊能地区に住む中学生の進路保障に向けて様々な活動をしています。ではどのような活動がされているのかを紹介していきましょう。
夏休み前ぐらいに私立学校宛にお手紙が送られてくる
この豊能地区進路保証協議会ですが、夏休みが始まる前ぐらいのタイミングで各私立学校宛に「入試に関するご配慮のお願い」という手紙が送られてきます。そう、この協議会ですが私立学校の入試に注文を付けてくるのです。なぜこのタイミングなのかというと、私立学校の入試問題作成は夏休みごろから作られることが多いからと、2学期までにどれくらいの範囲まで進むことができるのか目途が立つからです。
例年ですと以下のような内容が書かれています。
- 学習指導要領の範囲以外から出題するなよ!
- 2学期末までに学習した範囲から出題しろよ!
- 「発展的な内容」からの出題は慎重に検討しろよ!
- 使用している教科書間で差が出るような問題は選択問題にするとかして配慮しろよ!
- コロナとかで中・長期の休校措置が行われたら出題範囲や内容を再考しろよ!
こんな言葉づかいではありませんが、要約するとこんな感じです。ご丁寧に豊能地区の各学校で調査したであろう「3学期に学習する内容(=出題するなリスト)」まで付けられています。なかなか踏み込んだ内容まで口を出してきますね。
お願いが守られているかチェックが入るよ!
なんとこの協議会、お願いするだけではなく、お願いしたことが守られているかチェックし、それが守られていないとクレームの電話をしてきます。この点がこの協議会の最もクレイジーなところで、しかも結構早いタイミングで電話がかかってくるので私立学校側としてもビックリするところです。
私立学校によっては、このクレームの電話がかかってくると、管理職が作問した教員や教科主任を呼び出して激しく叱責されることもあります。
必ずしも従う必要はない
こんなお願いとチェックまでしてくる豊能地区進路保証協議会ですが、各私立学校は必ずしもこれに従う必要はありません。しかし、多くの私立学校はそれに従っています。なぜかというと「多くの私立学校が生徒募集に苦しんでいるから」そして「豊能地区の生徒が優秀だから」です。
生徒募集が安定していて、しかも偏差値帯が高い私立学校の場合、豊能地区からのお願いは無視するケースが多いです。そのような学校は応用力がある優秀な生徒がどんどん志願してくるので、豊能地区の学校側から嫌われようが生徒側は受験したいと思ってくれますし、難しい問題でなければ受験生の差がつきません。
逆に生徒募集が安定していない私立学校は豊能地区の学校と良好な関係を築いて生徒を送ってもらわなければなりませんし、偏差値帯が低い学校としても、豊能地区の優秀な生徒を迎え入れて進学実績を向上させたいと思っています。そのため、豊能地区進路保障協議会のお願いには忠実に従う学校が多いのです。
豊能地区の生徒は優秀な生徒が多いです!実際にチャレンジテストの結果も良好で、大阪府で順位がついた36自治体中、豊中市5位、箕面市1位、池田市8位、豊能郡豊能町3位と上位ばかりです。大阪府の全順位は下の記事をご参考にしてください。
最後に
大阪府の私立学校の入試では豊能地区進路保障協議会は結構なパワーを持っています。そのため、その影響を受けている私立学校はかなり多く、3年の3学期で学習するであろう内容を出題しない私立学校は結構あります。これは豊能地区の中学生だけでなく、大阪府の受験生全てに当てはまりますので、その点を考慮して受験勉強をすると効率的ですね。