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2022年11月教育ニュースまとめ

2022年11月にあった教育に関わるニュースの中から気になったものを、現役教員の筆者の視点からお伝えします。

「情報I」公立高校で免許持たずに指導の教員 全国800人近くに

2025年から大学入学共通テストの出題科目に加わる「情報I」について、公立高校で免許を持たずに特例などで教えている教員が全国で800人近くに上っていることが分かりました。各自治体は、専門教員の配置を見直すなどして改善を目指すとしています。

文部科学省がことし5月、全国の都道府県と政令指定都市の教育委員会を対象に調査したところ、情報の免許を持たずに臨時免許や特例で教えている高校教員は、49の自治体で合わせて796人いたことが分かりました。
2年前の前回の調査より437人減り、改善しているものの、依然として専門教員の不足が課題となっています。(NHKニュース

情報科の重要性が高まってきている昨今ですが、大学入学共通テストにも「情報Ⅰ」が加わり、教育業界も力を入れてきています。しかし問題は指導者の確保です。免許を持たずに臨時免許や特例で指導している教員が、全国に多くいるというニュースです。

情報の免許というのは、多くの場合で数学科や理科の教員が+αで取得することが多かった免許です。そのため、情報がメインという教員はほとんどなく、情報は兼業ということもよくあることです。今まででしたらそれで何とかなっていたのですが、情報を共通テストでも取り扱うことが決まり、よりシッカリと指導することが求められ他教科との兼業では立ち行かなくなってきました。

進学校あるあるですが、数学科の教員が情報を教え、既定の時数を越えたら情報と称して数学を教えるということは良く行われてきました。過去にこの問題がクローズアップされ今ではあまり行われなくなってきましたね。

指導者の確保は容易ではありません。ただでさえ教員になりたいと思う人が減ってきているのに情報科教員を確保しなければなりません。また、情報科の免許を取得するのにも時間がかかりますので、そもそものなり手が不足しています。共通テストで情報が追加されるまでに、学校間格差のない指導環境が確保できるのか不安なところですね

生徒のタブレット端末に職員室の会話 ショックで不登校 山口・岩国

山口県岩国市の市立中学校で、生徒のタブレット端末に職員室での会話が録音され、話題にされた生徒の1人がショックを受けて不登校になっていると市教委が17日、明らかにした。会話していた教諭1人も責任を感じ、出勤できなくなっているという。市教委によると、10月31日、教室に置き忘れてあった端末を教諭が職員室に持ち帰って保管したが、録音機能が作動し、10人程度の生徒の学習や生活態度について教諭らが交わした個人的感情を含んだやり取りが記録されたという。翌11月1日、端末を返却された生徒が録音に気づき、会話で名前の上がった数人の生徒に音声データを送信。自分のことにふれた会話の内容を知ってショックを受けた1人は、同月上旬から登校できなくなっている。学校側は会話で名前が出されたり、データを送られたりした約10人の生徒に謝罪した。(朝日新聞デジタル

明日は我が身なニュースです。忘れ物と思っていて保管していたら、録音がされていたという事件ですね。この録音が生徒による意図的であったのかは不明ですが、「職員室での会話内容に気を付ける」「端末を預かる時は場所を考える(録音のリスク等を考慮する)」等は気を付けた方が良いですね。まぁ録音された内容を他の生徒にも回している時点で、この生徒にも指導は必要ではないかと思いますが。

教師が児童の背中に「反省文」貼り校内歩かせる 「先生の給食を取って食べました」 大阪府立の支援学校で

大阪府立の支援学校の教師が、児童の背中に反省文を貼り、校内を歩かせていたことが分かりました。

大阪府教育委員会によるとおととし10月、府立支援学校の20代の女性教師が、小学1年(当時)の男子児童の背中に、女性教師の給食を食べたことを反省する内容の紙を貼りました。

男子児童は、女性教師が席を外した際に給食を食べたということで、女性教師は「ぼくは先生の給食を勝手に取って食べました。反省しています」と紙に書き、約20分間、校内を2人で歩いたということです。校内にいた別の児童の保護者が貼り紙に気づき、事態が発覚しました。

府教委によると女性教師は、「会話が難しい児童に、他の先生が話しかけるきっかけになると思った」と話しているということです。(関西テレビ

支援学校かつ20代女性教員ですので、経験も少なくかなりのストレスだったのではないでしょうか。ただ、やったことは完全にアウトですね。私も支援学校での勤務経験がありますが、その気持ちも分からなくもないです。さすがにそんな行動はしませんけどね。

支援学校での昼食はまさに戦争です。多くの場合は子どもたちと席を並べて一緒に食べます。給食ですので、そこまで美味しいわけではありませんし、子どもたちも一般校と比べて好き嫌いが激しいです。落ち着いて食事ができることは皆無で、隙を見て食事をかきこみます。片側の子どもに気を取られていると、もう片側の子どもに食事を狙われることも多々ありました。

まぁ取られたのが食事でまだ良かったですね。油断していて箸で眼球を貫かれそうになった同僚もいます。全学校で教員は不足していますが、支援学校での人員不足は様々なリスクがありますので、予算をつけてもらいたいですね。

自民、給特法の見直しなど検討へ 委員会設置 教員確保に向け

自民党は16日、萩生田光一政調会長を委員長とする教育人材の確保に関する特命委員会を設置した。公立学校の教員に残業代を支払わないと定めた教職員給与特別措置法(給特法)の見直しを含め、公立校教員の処遇改善や教員希望者の確保策などを検討する。2023年春ごろまでに提言をとりまとめ、24年度予算への反映を目指す。1971年制定の給特法は、66年の小中学校教員の平均残業時間(月約8時間)を参考に、公立校の教員に月額給与の4%を「教職調整額」として支給する代わりに、労働時間に応じた残業代を支払わないと定めている。一方、文部科学省が公立校の教員を対象に2016年度に実施した調査では、小学校で約59時間、中学校で約81時間の時間外勤務をしていることが判明し、制定時と教員の勤務環境が大きく変化している。党本部で16日にあった初会合では、萩生田氏が給特法が教員志望者の減少や教員不足につながっているとの見方を示し「残業時間が8時間だった昭和の時代になかった仕事が増えている。教員の適切な人数や給与体系がどうあるべきかを整理する必要がある」と述べた。(毎日新聞

教員の労働環境が過酷な要因となっている一つ、給特法が改正されようとしています。この法律は定額働かせ放題と揶揄されることも多く、長時間労働・低賃金の要因となっています。果たしてどのような案が出されるのでしょうか注目が集まりますね。

  1. 給特法の教職調整額を廃止し、残業手当を出す。
  2. 教職調整額は維持し、増額する。

望まれるのは①ではありますが、定額働かせ放題を維持したいのであれば②になるでしょう。おそらく①になった場合、残業手当を支払えるだけの財源は用意できない可能性が高いです。②になった場合はどれくらいの増額になるのかがポイントです。過去の平均残業時間が8時間だったときに4%だったのですから、小学校の平均残業時間59時間だと29.5%小学校・中学校の平均残業時間70時間だと35%中学校の平均残業時間81時間だと40.5%になります。はたしてどこで落ち着かせるのか気になりますね。

30%を超えるかどうかが注目です!越えなければ、とりあえずやってる風のアピールがしたいんだなーと思ってしまいます。

部活動の顧問「任意制」に…東洋大が「私学教員ユニオン」と労働協約、付属校で適用

学校法人・東洋大学(東京)と労働組合「私学教員ユニオン」(同)が、東洋大付属牛久中・高(茨城県牛久市)に勤務する全教員を対象に、部活動の顧問就任を任意とする労働協約を締結した。ユニオンが22日、東京都内で記者会見し、明らかにした。部活動は教員の長時間労働の一因とされ、顧問就任の任意制導入は全国的に珍しいという。(読売新聞オンライン

この動きは全国的に広がって欲しいですね。部活動顧問を拒否する流れは公立も含めて広がりつつあります。予算と人員をつけれない部活動は廃止すべきで、それをほぼ無償の労働に頼るのは健全ではありません。もしこの流れが全国に波及すれば、経済力に乏しい私立学校はかなり経営が厳しくなるでしょう。

将来的には「部活動はしません」という私立学校が増えてくるかもしれませんね。

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