2021年12月にあった教育に関わるニュースの中から気になったものを、現役教員の筆者の視点からお伝えします。(Yahoo!ニュースより)
小中生の体力さらに低下 運動時間減、コロナで拍車 スポーツ庁
スポーツ庁は24日、小学5年と中学2年を対象とした2021年度「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(全国体力テスト)の結果を公表した。全8種目の成績を点数化した体力合計点は小中男女とも前回より下がり、特に男子は08年度の調査開始以来、最も低くなった。(元記事)
ほとんど対策していないんだから、そうなりますよね。コロナ禍でなくとも下落していたことでしょう。今回は、前回が調査できなかったため2年ぶりの調査になります。
まず、小学生(5年生)の結果から。
男女ともに大きく数値を落としましたね。男子の結果が、今まで横ばいで持ちこたえていたところを大きく下回り過去最低を更新しました。女子は上昇傾向だったところを振り出しに戻した感じですね。
続いて中学生の結果です。
中学生も男女ともに低い値となりました。中学男子は下げ幅はそこまで大きくありませんが、過去最低を更新しました。女子も小学生同様に上昇傾向だったのが急落して振出しに戻ってしまいました。
低下の原因についてスポーツ庁は以下のように考察しています。
- 運動時間の減少
- 学習以外のスクリーンタイム(TV, スマホ, ゲーム等)増加
- 肥満である児童生徒の増加
うん、知ってた。
まぁそうですよねー。そういう社会なんです。学校は「学力を上げろ!」とプレッシャーがかかっていて、地域では子どもの遊び場の減少(道路族と揶揄してくる人の増加)、家庭では共働きで遊びにつれていく時間の減少、コロナ禍での経済的困窮で外出減、スマートフォン等の若年層への普及という何重苦かわかない状態です。
まさか、この原因を学校だけに押し付けて改善を学校だけに求めないですよね!?
教員働き方改革 文科省全国調査 学校業務の切り離し進まず
公立校で常態化する長時間労働を是正するため中央教育審議会は2019年、登下校時の対応など四つの業務を「基本的に学校以外が担うべきだ」と答申したが、切り離しは思うように進んでいない。文部科学省が24日公表した21年度の「働き方改革」状況調査では、全国に1793ある教育委員会などのうち、4業務を学校以外が中心に担っているとした割合は24・1~60・3%にとどまった。文科省が16年度に実施した調査によると、公立校で中学校は6割近く、小学校は3割以上の教員が「過労死ライン」とされる月80時間以上の残業をしていた。(元記事)
「登下校時の対応など四つの業務」とは以下の4つです。
- 登下校に関する対応
- 放課後から夜間の見回り、児童・生徒が補導された時の対応
- 地域ボランティアとの連絡調整
- 給食費など学校徴収金の徴収・管理
「なぜ、切り離しが進まないのか!」簡単な話です。学校や教育委員会が提示できる金額では、外部の機関がやってくれないからです。外部機関としては「そんな安い金額で仕事引き受けられないよ!」というのが実情でしょう。だから外部委託することができず、定額働かせ放題の教員にやらせれば費用も掛からないのでお得!となるのですね。
ちなみに私自身、公立学校に勤めていたときは①~④の全て経験があります。私立学校に勤めるようになると少し減って、ブラック私学に勤めていたときで①と④、今のホワイト私学では全てやっていません。こういうところは私立学校の方が進んでいますよね。
教員働き方改革 休暇まとめ取り「変形労働制」進まず 文科省調査
長時間労働が常態化している公立校教員の「働き方改革」を進めるため2021年度から導入できるようになった1年単位の「変形労働時間制」について、導入に必要な条例を20年度に整備したのは、47都道府県のうち9道県、20政令市では浜松市だけだった。文部科学省が24日に発表した。(元記事)
「変形労働時間制」wwwwww
ってなってしまいます。この働き方は本当にやめた方が良いです。私もブラック私学に勤めていたときはこの制度が導入されていましたが、経営側に都合がいい制度で、働く側にはほとんどメリットがありません。
この制度は繁忙期と閑散期がハッキリしている業種に限り有効です。閑散期もそれなりに仕事があり、年休取得が夏休みなどの長期休暇ぐらいしか取れない学校においてこれを導入してしまうと、年休消化が全くできなくなってしまいます。それに長期休暇中にも授業や行事の準備等で仕事をしています。教職調整額を盾に、これに対価を出すつもりはないんですよね?学校のブラック化がますます進行しますので、何としてでも阻止すべきです。
勤務時間の枠組みを変える前に、勤務時間内に終わるように業務を整理する方を優先しない態度にはドン引きしてしまいます。
公立小5、6年で「教科担任制」 コロナ対策は支援員1万人増 来年度予算案
公立小学校5、6年生を中心として、教科別に専門の教員が教える「教科担任制」を推進するため、教職員を950人増員することが決まった。児童らの学びの質向上を図るとともに、教員の働き方改革につなげる。公立小の「35人学級」への移行を3年生で実施することなどと合わせ、教職員定数は4690人増やす。教職員の自然減や配置見直しを踏まえると、実際の定数は差し引き2502人減。(元記事)
教科担任制の導入によって多少は小学校教員の授業負担が軽減されることと思います。しかし、増員する人数少なすぎませんか?えっ、軽減する気あります?
日本にある公立の小学校の数は22,000弱です。22校に1人しか増えないってその恩恵を受けれない学校がほとんどってことですよね。えっと、0が2つぐらい足りてないのではないでしょうか!?
また、定員を増やしたところで正規教員として雇用するのでしょうか?そのあたりも気になりますね。非正規としての雇用ならまた体の良い人数合わせにしかならず、根本的な解決にはつながりません。学校現場が求めているのは「仕事量の削減」と「正規教員の増加」です。なぜストレートにここを解決してくれないのでしょうかね。
まぁ公立が混沌としてくれているおかげで、その混沌から逃げようと生徒が私立学校に流れてきていますので、私立学校で働く私としてみれば、このまま自滅してくれと思っています。
あと、定員を増やしたとしてちゃんと人が集まるのでしょうかね?ただでさえ、志願者数が減っている教育業界において募集がうまくいくのかは疑問です。