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【中学入試】公立・ブラック私学・ホワイト私学の入試業務【高校入試】

学校間で働き方も違えば、入試業務も様々です。今回は入試業務を通して、学校教員の働き方の一部分をご紹介しましょう。

入試業務って?

入試業務は中学入試や高校入試に関する業務のことで、おおよそ前日から始まり合格発表までの期間行われます。仕事の例をご紹介しましょう。

補足
大阪府の学校を例にご紹介します。自治体によっては異なることもあります。また、私の実体験をもとに書いていますので、情報が古い可能性がありますのでご了承ください。
  • 作問(私立のみ)
  • 入試会議
  • 会場準備
  • 問題受け取り(公立のみ)
  • 警備・案内
  • 試験監督・面接(ほぼ私立のみ)
  • 採点・点検
  • 会議・発表
  • 二次試験・三次試験

では、詳しく見ていきましょう!

作問(私立のみ)

私立学校の場合独自に試験問題を作ります。作問の方法は様々で、「全問を教科の代表者が作る方法」と「大問ごとに担当者が作る方法」、「複数人で大問を持ち寄りそこから厳選する方法」などがあります。後者になるにつれて時間がかかりますので、だいたい夏休み明けぐらいには第一案が出る感じですね。

また、試験の回数に応じて作問数も増えます。中高一貫校の場合は単純に2倍ですし、複数日程ある場合はそれに応じて増えます。

試験問題を作るのは大変ですが、赤本や出版社の問題集に自分の問題が載るのは嬉しいものですよ!

入試会議

どのように入試を行うのかの会議です。一般教員は仕事内容の説明を受けるだけですが、入試の担当者はその方法について立案する必要があります。試験監督を誰に充てるのかなども考えなければなりません。公立の場合、ある程度全学校共通のものがありますが、学校独自の事情などを加味して調整します。

昨今はコロナ禍ということもあり、「例年通りで!」が通じなくなっています。また、不測の事態も考えられますので担当者は大変です。

会場準備

試験の前日は会場準備のため、在校生は1日休みか半日授業にすることがほとんどです。ブラック私学は少しでも授業をしたいので、1日授業で部活動なしという対応をするところもあります。

会場の準備方法は学校により様々で、教員のことを信用していない公立とブラック私学は会場のダブルチェック(教室を替えてのチェック)をさせることが多いです対してホワイト私学は教員のことを信頼していますので、担当者がチェックしたら終わりです

なぜかダブルチェックをする公立やブラック私学の方が会場トラブルが多いです。教員が大いに疲弊していて見逃してしまっているのかもしれませんね。

問題受け取り(公立のみ)

公立高校の場合は作問は行いませんが、問題を受け取りに行かなければなりません。大阪府の場合は教育センターになるでしょうか。だいたいは校長+教員2人で取りに行き、広いホールの中で問題を受け取ります。ホールからは直接タクシーが来ていますので、そこから学校に戻ります。教育センターに公立高校と同じ数だけのタクシーが並ぶのは凄い光景です。

絶対に問題は漏れてはいけませんので、どんなに遠くてもタクシーで移動します。学校に到着後、問題は厳重に管理され、校内の秘密の場所に保管されます。

警備・案内

試験日の朝や試験終了後には学校の内外で受験生の案内や警備が必要になります。警備を雇っている場合でも、ほとんどの学校では警備員も人手不足なので、学校までの道中などは教員が案内と警備を兼ねます。駅から遠い学校だとそれだけ教員の数が必要です。また、受験シーズンは寒さが厳しいので凍える思いです。

しかし、警備にも潤沢に予算を割いているのがホワイト私学ほとんどの教員は暖かい場所にいます

ブラック私学あるあるなのが、重要業務に当たっていない教員は門で挨拶しろという業務です。ここはホテルか何かか?と思いながらも命令ですので従わなければなりません。併願の生徒に「この学校に来たい!」と選んでもらうためらしいです。募集が安定しないブラック私学特有の文化ですね。ホワイト私学はそんなことしなくても、元から生徒が来たいと思っているので媚びません。

また、試験前には塾や学校単位で集会をしています。公立やホワイト私学は勝手にやってて的な雰囲気ですが、ブラック私学は塾とも仲良しで媚びていきますので、控室を用意したりと丁重に扱います。そのための教員も充てますので、人数不足に拍車がかかります。

試験監督

試験監督は公立にはほぼ共通のマニュアルが、私立には学校独自のマニュアルがあります。ほとんどの場合、教員2人で40名ほどを監督するのですが、志願者が多い私立学校だと大きな会場を用意したり、大学附属の高校なら大学の施設を借りたりします。

また私立学校によっては教員が1人のみで監督したり、在校生を試験監督の補助に充てるなどする学校も見られます。主に推薦入試などで進学が決まった生徒に手伝ってもらいます。多くは図書カードなどを渡してお礼とするところがおおいでしょうか。教員1人での監督や在校生の補助はホワイトな私学でも導入されていますので、ブラックとホワイトを分けるものではありません。

個人的には、試験会場に在校生を入れるのは無しだろと思っています。

ブラック私学とホワイト私学で明確に差を感じるのはやはり受験生の質です。ホワイト私学は生徒がある程度落ち着いているからこそのホワイト私学ですので、受験生にも落ち着きがありトラブルは特に起こりません。逆にブラック私学はほぼ全入に近いので、とんでもない受験生が紛れていますし、この傾向は中学受験の方が顕著です。もちろん挙動不審な受験生は報告するのですが、そういう受験生も合格を出さないといけないのがブラック私学の悲しいところです。

面接

私立学校の場合は試験内容に面接を加えるところが多いです。しかし、昨今のコロナ禍で面接を取りやめる学校は増えています。

高校入試の場合は志願者が少なければ専願と併願の両方を面接することが多いですが、人数が多いと専願のみというところもあります。中学入試では専願併願という制度はあまりなく、共通日程(A日程)が第一志望的な扱いになります。そのため、共通日程のみ面接を行うというふうに日程で分けるところもあります。

面接内容はほぼマニュアルで決まっていて、全受験生に同じことを聞くことが多いですね。聞いてはいけない質問とかがありますからね。面接をする側としてもそちらの方が楽です。評価方法も学校によりけりで、数値化するところもあれば、足切りにしか使わないところもあります。

空き時間

空き時間は日頃の溜まった業務をこなすことが多いです。ただ、公立や多くの私学は外部との連絡は禁止です。厳しいところだと、電話だけでなくメールのやり取りやインターネットも禁止されています。

対してホワイト私学はほとんどのことは許可されています。というか、制限されるという文化がありませんし、教員自体制限されることに物凄く反発するのがホワイト私学です。ホワイト私学は業務も少ないので、空き時間にはネットサーフィンをする余裕があります。

みんな大好きYahooニュース。ホワイト私学の教員は最新ニュースをよく知っています。

採点・点検

試験が終われば採点作業です。これは公立高校の方が過酷です。ミスは絶対に許されません。(一応、私立もですが…。)公立の場合、採点ミスはすぐに報道され晒し者になります。チェックに次ぐチェックで、6回以上採点します。答案用紙の受験生が書いている解答欄に直接丸をすることはできませんし、専用の採点用紙も用意されています。最後には教科を持ちかえてのチェックや教務によるチェック、教育委員会による抜き打ちチェックまであります。採点・点検には2~3日の時間を要しますのでかなりの長期戦です。

私立学校の場合、速度が大事です。大体は当日中に採点が終わり、早ければ当日の夜や、翌日の朝に合格発表という学校もあります。というのも中学入試であれば、翌日の日程で受験する受験生がいるからですね。土曜日の共通日程が本命で、日曜が滑り止めという受験の仕方をすることが多いです。高校入試でも不合格だった生徒のために、他校で募集定員に満たなかった学校の1.5次を受けてもらうべく、なるべく早く発表します。

そのため私立の採点は公立ほどチェックは厳しくありません。2~3回採点というところが多いでしょうか。報道で晒されにくいというのも要因です。

判定会議

どこまでを合格とするのかのラインを決める重要な会議です

公立の場合は厳密に合格者数が決まっていますので、スパッと線引きされます。大阪の場合はボーダーラインという制度があるので、ボーダーに入った生徒を学校の基準に合うように並び替える作業がありますが、特定の責任ある方がやるだけですので、一般教員の多くは結果を告げられるだけです。

私立高校の場合は、併願の戻り率を考慮して多めに取ります。併願の場合は、その後に公立の入試を受けるのですが、そこで合格だと戻ってきません。併願者の例年の戻り率を参考に定員に合うように調整します。定員を大幅に超えてしまうと、教室や教員が足りなくなりますので慎重に計算します。

さらに私立の入試結果を難解にするのが進路相談の存在です。他府県で実施されているかまでは把握していませんが、大阪の多くの私立学校は入試相談と称して事前に中学校の教員と学校が面談し、裏で合否をほぼ固めています。生徒の進路保証をするため必要なものかもしれませんが、結構闇が深いです。そのため、単純に成績で並べてここまで合格というふうな判定はできません。

中学入試となるとさらに難解です。そもそも専願・併願という概念がないので、高校入試のような専願者による入学してくれる保証がありません。学校によっては合格は出しても辞退者が続出し、半分も戻ってこない学校も多いです。例年の戻り率から予想を立てて、多めに合格者を出します。そのためほぼ全員合格という私立中学校はかなり多いです。

多くの私立中学校は定員数よりはるかに多い合格者を出します。そのため、倍率は高くても合格倍率はかなり低い学校が多いです。

また、ブラック私学の中学入試では塾の存在も大きいです。塾との関係性を重視して、特定の塾の生徒を合格できるような線引きをすることもできます。経営がしんどいブラック私学にとって、生徒を送り出してくれる塾とは仲良くしたいものです。「この学校は受験しても普通に落とされるな。」と思われてしまうと、途端に生徒を送ってくれなくなります。「この児童はどこも合格できないかもしれない…。でも、あの学校なら合格を出してくれる!」と思ってもらえると安定度が上がりますし、塾内での評判が良くなると上位のコースに優秀な生徒を送ってくれるようになります。

このような事情にあるブラック私学は特定の教員や管理職のみのクローズな場で合格ラインが決められ、一般教員には合格者数のみが報告されることが多いです。一般教員からすれば会議が短くて楽ですけどね。

発表

今でこそオンラインでの発表が増えましたが、郵送によるものや、学校での発表など様々です。公立の場合だと、学校に掲示で発表をし、その日の午後から手続きをやることが多いですね。不合格だった場合はその足で、併願校の私学に向かって入学手続きです。さすがにこの日の私学の雰囲気は暗いですね。

郵送の場合は、教員も総出で発送作業にあたります。コース制を敷いていたり、特待生制度があると合格者によって送るものが違いますので大変です。間違いは許されませんので、慎重に進めていくのですが、私立は早さも重要なので(不合格の場合1.5次を受けるため)、急ピッチで作業にあたります。

一次試験・二次試験…(A日程・B日程…)

公立の場合は概ね1発勝負です。そのため入試業務は1回で終わりですが、私立の場合は複数日程用意されていることもあります。

なぜ複数日程を用意するかというと、1回の試験だけでは生徒が集まらないからです。中学も高校も都道府県ごとに共通の試験日があり、第一志望の学校にはこの日程で受験します。しかし、学校によっては募集人数に満たないこともあります。そのときは別日程を用意して、再度募集をかけます。受験生にとっては滑り止め的な役割もありますね。

日程の呼び方は学校によって様々で、共通日程をA日程、以降をB日程・C日程とするとこもあれば、1次・1.5次・2次とするところもあります。

別日程の実施日も様々で、中学入試の場合は共通日程の午後(学校によっては2科目受験で午前中だけで試験が終わる)や翌日、数日空けるなどがあります。高校入試は合格発表があってから数日後というのが多いですね。

この別日程を用意している私立学校というのは経営的にしんどい傾向にあります。ただ、2日程ほどでしたら2番手校が上位の学校を受験した優秀な生徒がその学校に落ちた場合、何とか獲得したいという積極的な意味もあります。そういう学校は共通日程でもしっかりと不合格者を出します。

しかし、4日程以上は流石に多いので黄色信号です。そういう学校は全日程で合格者を大量に出す傾向にあります。合格を出しても他校に取られて帰ってこないからですね。

教員としても、複数日程は負担が大きいです。1回だけでも負担が大きいものを何度もとなると疲弊していきます。それに本業の方でも、大学受験の佳境に入っていますので尚更です。

最後に

いかがでしたか!?意外と大変でしょ!?

特にブラック私学の場合は、業務量がすごく多くなります。そこに勤めている方からすると「外にはこんな世界があるのか…。」となってしまいますよね。そんな方はぜひともホワイト私学への転職を検討してもらえればと思います!

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