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指定校推薦をあてにしてはいけない

友達の子どもが指定校推薦で、有名大学へ進学したんですって!友達も『この子のレベルで行けるなんて!』って言ってたし、そんなに良いものなの?

指定校推薦ですね。上手く使えれば、お子さんにとって良い制度ではありますよ。

じゃあ『指定校推薦の枠こんなにあります!』ってアピールする高校があるんですけど、オススメですか?

それは危険も伴いますので、あまりおすすめできません。では、なぜあまりおすすめできないのか、今日は指定校推薦について考えていきましょう。

指定校推薦とは

私立大学が高校に対して優秀な生徒を推薦して欲しいと依頼することで成立する、指定校の生徒しか受験できない専願の入試のことです。枠と条件(成績や出席状況など)が決まっていて、学校での推薦が決まれば受験ができます。まず、主なメリットを見ていきましょう。

受験すればほぼほぼ合格できる

学校から推薦され受験できれば、ほぼ100%合格が決まります。非常においしい話ですね。高校と大学との関係性がありますので、大学側から「この基準に見合う優秀な生徒を送って」と言ってきて、「やっぱりこの子は無理」とは大学側も言えたもんではないです。

「ほぼ」100%で合格できるということは、たまに落ちる生徒がいます。完全に舐めてかかって、志望理由すら言えないと落ちます。そして、大学と高校の関係が険悪になるまでがワンセットです。基本的に指定校推薦が決まれば担任や進路担当者が面接指導にあたりますので、落ちることはまず無いのですが…。

他の入試方法と比べて圧倒的に合格率が高いので、希望の大学かつ希望の学部があれば、積極的に使っていきたいです。

2学期中に進路を確定できる

3学期を大学で学ぶ準備に充てることができます。大学もそれを見越して課題を渡すところが多いです。下宿も考えている場合は、3月の争奪戦より早く物件探しを始めることもできます。ただ、浮かれすぎて一般受験組に迷惑をかけないようにしましょう。

また、その後の態度や出欠状況によっては合格を取り消されるパターンも存在します。規定で決まっている遅刻回数的に、これ以上遅刻できない状況の生徒が卒業式に遅刻して、取り消されるといった事象もあります。合格が決まっても油断せずに、守りを固めて生活しましょう

ほとんどの場合、実力以上の大学に進学できる

良し悪しありますが、学歴的には華やかになります。しかし、学力が伴っていないと大学での学びについて行けなかったり、単位を落とし留年、卒業できなくなることもあります。過去に偶然にも枠が空いていて、偏差値的に20ほど上のレベルの大学に進学できた生徒を見たことがあります。その生徒は学力こそイマイチでしたが、持ち前のコツコツと努力を継続できる性格で、大学では問題なくやっているそうです。その生徒にとっては指定校推薦は幸運なものになりました。

指定校推薦の主な流れ(学校により違いあり)

  1. 1学期の後半ごろに大学から高校に指定校推薦の案内が届く。
  2. 高校の進路指導部を中心に一覧表にまとめる。
  3. 夏休み後、一覧表を生徒に向けて提示。
  4. 生徒はそれを確認して、希望を出す。
  5. 校内の規定に従い、希望者を順位づけし、推薦者を決定。
  6. 結果を生徒・保護者に通知。
  7. 2学期後半ごろに大学を受験。(選考は書類と面接がほとんど。たまに筆記試験あり。)
  8. 合格通知が届き、入学手続きを行う。

入学手続き忘れが一番笑えないパターンです!早いうちから取り組みましょう!

校内の選考について

これは学校により様々です。しっかりと調べておきましょう。1年の成績から含めるのか、部活動や生徒会活動の加点はあるのか、出席日数は関係するのか、実力テスト等の配分は、など様々な要素が組み合わさっています。それに、先に全生徒を順位づけをして上位から希望する大学を取っていく方式もあれば、指定校の枠の中で順位づけをして、上位から取っていく方式があります。

前者は複数希望を出すことができるので、校内順位が高いほど希望が通りやすく、下位だとほぼ希望通りになりません。概ね実力通りの選考なので平和です。(ただ、大学からは第一志望であることを募集の条件にしていることが多いので、この選考方法はグレーな方法です。)

後者は思わぬ幸運が発生するパターン。原則1つしか希望できないので、その枠に誰も希望しなかったために、集団の成績は下位でもその枠の中ではトップに立つことがありえる選考。逆に2位でも、枠1つのところに1位と被ると推薦を逃すことになります。

指定校推薦のシーズンになるとポーカーが始まり、同じ枠になりそうな相手に対して自分の持ち点を本当の点数より大きく見せ、相手に降りさせるという残酷な光景が見れます。ちなみにその枠を他に希望している人がいるのか担任に聞いても絶対に教えてくれないので、予想だにしないところからライバルが出現することも。

なんて残酷な・・・。

こっちは本当の点数を知っていますが、そんなこと公表できないので、『こいつ、やりやがったな』とドン引きしています。

指定校推薦の注意点

専願の入試です

指定校推薦で大学をキープしつつ他の大学を受験するような併願はできません。ですので、合格したら絶対に入学することが条件になっています。また、2学期に合格が決まってしまうので、心変わりがあるかもしれませんが、絶対に辞退してはいけませんし、わざと手続き漏れで不合格になりに行くのも学校と後輩に多大な迷惑がかかるのでやめましょう。

基本的に実力以上の学校に行けるので、わざわざ辞退するメリットはないので大丈夫でしょうが、一応知っておきましょう。

募集要項は絶対に確認

募集されている学部によって、求められる評定や履修している科目、出席状況が決まっていて、それが出願条件になっています。選択科目で履修していなかった、評定が足りていなかった、欠席日数が1年生からの合計で既にオーバーしていたなど、出願できないことは多くあります。少しでも基準をクリアできるように、日頃から学校生活を大切にする必要があります。

特にコース制にしている学校では、コースによって履修していない科目があるので要注意です。よく引っかかるのは「数Ⅲ」と「(基礎でない)物理・化学・生物・地学」です。

学校のレベルに応じて、学部や募集人数が違う

当然のことですが、大学も優秀な生徒が欲しいので、優秀な生徒が集まる学校により良い学部と沢山の枠を用意します。しかし、偏差値帯の高い学校では枠は充分にあるのに、実力でそれ以上の大学に行けてしまうので、あまり使われずに残ります。特に国公立大の指定校推薦は無いので、国公立大志望の生徒は専願になってしまう指定校推薦はスルーします。

逆に偏差値帯の低い学校では、大学から指定校推薦の枠が来ていても、選べる学部数が少なかったり、募集人数が少なかったりします。また、募集条件が厳しくなりますので、条件を突破するのも大変です。

学校による募集条件の違い(例)
高偏差値帯の学校:評定平均3.0以上の者
低偏差値帯の学校:評定平均4.2以上かつ欠席日数10日以内の者

いくつも学部を抱えている大学の指定校推薦枠があったとしても全ての学部の枠があるわけではありません。それに地方の不人気学部では、立地など条件の悪い学部もありますので、有名大学の指定校推薦があるといってもピンからキリで、自分の行きたい学部があるとは限りません。特に人気学部は高偏差値帯の高校に枠を渡しがちですので、どうしても高校の偏差値が低くなると人気学部の枠は少なくなります

よくあるのは近大トラップです。「近畿大学の指定校推薦枠たくさんあります!」と言いながら、東大阪にある学部の枠は僅かで、ほとんどが大阪府外の学部だった。なんてこともあります。

学年1位でない限り安心はできない

選考方法でもお話ししましたが、たとえ学年2位の好成績でも、枠が1つのところに学年1位と被ってしまうと、推薦されません。常に1位を取り続けない限り安心はできません。なにが選考の対象になるのかを確認し、加点対象になるものは確実に得点していきたいです。(実力テストや評定以外にも、部活動・生徒会活動・英検などの検定を加点対象にしている学校が多いです。)

3年間このストレスを耐えるのは結構つらいものがありますよ!

去年あった枠が今年ないことはよくある

「先輩が指定校推薦で行ったあの大学に私も指定校推薦で行きたい!」と思っても、その枠が来年もあるとは限りません。指定校推薦が継続するかは、

  1. 自分の高校のレベルが下がらない
  2. 大学のレベルが上がらない
  3. 指定校推薦で進学した高校の卒業生が成績不振ではない

この3つが大切です。

①はあまりないのですが、②は結構見てきました。去年まで大量に枠があったのに、最近大学側の人気が上がってきて偏差値が上がったために、指定校の枠が大幅に減らされたことがありました。③もよくあります。営業に来た大学関係者から、指定校進学者の成績を見せられ、このままでは指定校の枠が無くなりますと言われます。そして、元担任を中心に、その卒業生に勉強しろと電話をかけるのです。学校からしたら卒業させてからも安心ができません。

指定校推薦の今後

近年、入試改革が叫ばれています。それに伴い、書類選考と面接のみでほぼ合格する選考方法に疑問が投げかけられています。また、指定校推薦組と一般試験組では実力に大きな差があり、大学での単位取得率にも大きな差があります。そのため、上位の私立大学では指定校推薦の枠を減らし、別の入試方法に移行することが予想され、逆に学生の募集が安定せず、定員割れの可能性があるような大学は学生確保のため、まだまだ指定校推薦は盛況に推移すると思われます。

最後に

もし、この記事を読んでいる人に指定校推薦が決まった、もしくは指定校推薦から大学に進学し在学中という方がいましたら、まず「おめでとうございます。」と言いたいです。指定校推薦を獲得できたということは、それだけ高校での頑張りが認められたということです。自信を持って大学でも、継続して努力し続けて下さい。そして、後輩にその枠のバトンを繋げて下さい。あなたの成績次第ではその枠は消滅してしまいます。枠があると思って入学したら、消滅していた。なんてことは何としてでも避けてください。

今回は指定校推薦についてご説明しましたが、指定校推薦をあてにすることはリスキーです。しかし、受験生にとってメリットが大きいのも事実ですので、利用できたらラッキーぐらいに思っておきましょう。

まずは自分の実力をつけ、一般入試で戦えるように準備してください。その後、指定校推薦の要項を確認し、自分の行きたい大学行きたい学部があったときに利用するのが一番です。あてが外れて一般入試を受けなければならないというのは、間違いなく準備不足になります。また、希望学部の指定校推薦がないから同大学の別学部にすると、ミスマッチから単位を落としがちになったり、意欲低下から退学に至ります。しっかりと吟味した上で、指定校推薦制度を検討してもらえればと思います。

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