うちの子勉強は得意ではないだけど、私学に入れて勉強を頑張ってもらって、有名大学に行ってもらいたいの!
気合いがすごいですね・・・。
ええ!うちの子は私の宝ですから!偏差値はそれほど良くないけど、有名大学にも進学者を出している私立学校があるの!ここで頑張ってもらって、うちの子も有名大学に!
俗に言う入学しやすいのに有名大学にも進学者を出す中堅私学ですね。
中堅私学?
はい。偏差値がそこまで高くもなく、低くもない私学の総称です。中堅私学は結構闇が深いので、よく調べてから入学させた方が良いですよ。
闇が深いですって!
今日の話題は、中堅私学の闇についてです。中堅私学の採用試験を受けようとする方にも読んでもらえればと思います!
はっ!
中堅私学の現状
中堅私学とは、高校の偏差値で45〜55ぐらいの私立学校のことを主に指します。偏差値は正規分布ですので、偏差値50周辺が1番のボリューム層になります。私立学校もこの偏差値帯の学校が多くあります。
しかし学校を取り巻く状況は厳しく、少子化がどんどん進んできています。そうなると、減る割合はどの層も均等ですが、減る人数としてはボリューム層が1番影響を受けてしまい、中堅私学同士の生き残りを賭けた激しい戦いが繰り広げられています。
生存競争の先にあるもの
現に生徒が集まらず、閉校や募集停止に追い込まれている私立学校は多くあります。しかし、順序としては偏差値帯の低い学校からです。なぜなら中堅私学が募集の基準を緩めて、今まで不合格としていた学力層の生徒も取れば、生徒は確保できるのですから。しかし、それで一時的には凌げるかもしれませんが、学校の偏差値が下がってしまうので次は自分の番になってしまいます。それは中堅私学側も知っていますので、偏差値帯を下げるのは最終手段です。それに頼らずに生徒を確保するために奮闘するのです。では、どのような方法で生徒募集をするのか見ていきましょう。
安定した生徒募集のために
最優先課題:進学実績の向上
進学実績が向上すれば、ほとんどのことは解決します。
「進学実績が向上 → それを魅力に感じて受験生が増え、合格ラインが上がる → 学校の偏差値が上がる → より学力層の高い生徒が受験してくれる → さらなる進学実績の向上が狙える」というループに入れます。この繰り返しで、学校の偏差値を上げていき、ボリューム層を抜け出すのが目標です。
逆に進学実績が悪化すると負のループに突入します。私が高校生のとき、進学校で有名だった某男子校も、今では中堅に片足を突っ込んでます。
進学実績を何としてでも向上するために、あの手この手で学校は手を尽くします。例を挙げるなら以下の3つがあります。
- 特待生制度
- 授業時間の増加
- 強化クラブ以外の部活動の縮小
①特待生制度
特待生制度は優秀な生徒に対して、授業料を無料や半額などとして入学してもらう制度で、しばしば私立学校で導入されています。主に併願で受験した優秀な生徒を特待生にするから入学してくれと釣り上げます。この生徒をうまく育てて進学実績の向上に繋げます。
中学であれば「中学受験の練習になるし無料だから」とプレテストと称したものを受験してもらい、優秀な児童に対して特待生を約束して、入試前に釣り上げる荒技もあります。
特待生制度のある学校では、合格実績にも注意しなければいけません。例えば30人2クラスで計60人の選抜コースがあったとしましょう。そこで国公立大学の合格者が10人、難関私立大学の合格者が80人だったとします。これを見てどう思いますか?「難関私立大学には全員合格して、さらには選抜コース以外からも合格者がいる。選抜コースのうち10人が国公立大学にも合格した」と見えますか?学校側はそう見えるように工夫しています。
まず、難関私立大学の数についてです。私立大学の多くは一度の受験で他学部も併願することができまし、複数日程なので別の日に別の大学を受験することも可能です。これによって複数の大学や複数の学部に合格する生徒がいるのです。生徒は1人でも合格数は複数になりますので、学校にとってはありがたい存在です。
さらに特待生は国公立大学受験の前期試験で志望校に合格しても、後期試験も受験させることが多いです。なぜなら少しでも広報につながる進学実績の数字が欲しいからです。進学実績の中に、なぜ受験したのか分からないような地方国公立大学が含まれていたらこのパターンが多いです。
確かに!なんで大阪の学校なのに、合格実績の中に北海道の地方公立大学があるのか不思議でした。
このようにして、合格数をできるだけ多く見せようと学校側は工夫してきます。ですので、先程の例ですと選抜コースですら難関私立大学に合格しているのは一部である可能性もありますので、選抜コースに入れれば難関私立大学は固いとは思ってはいけません。
②授業時間の増加
「生徒の学力を伸ばすにはもっと授業すればええんや!」という考えのもと、授業時間数を増やします。授業時間数が7時間授業は当たり前、0時間目や8時間目がある学校もあります。生徒も嫌でしょうが、朝は早くて夜も遅いですので、教員側も快く思っていません。それにその増えた授業時間の負担は教員にいきますし、補習はボランティアみたいな学校もありますので、給料が増えるわけではありません。
ちなみに授業が終わってから会議ですので、必然的に帰宅時間は遅くなります。
また、「授業時間数が多いってなんてお得!」と思うかもしれませんが、お子さんはそれを望んでいますか?勉強の意欲が高くなく、授業数が多くなることを望んでいないのなら、かなりの苦行ですので、ちゃんと意思を確認してあげてください。
③強化クラブ以外の部活動の縮小
「強化クラブ以外の生徒募集に繋がらない部活動って要る?部活動する時間があったら勉強や!」という考えのもと、教員の働き方改革という大義名分も一緒に掲げて、部活動の縮小を行います。日曜日の部活動禁止、テスト2週間前から部活動禁止。部活動は8限後の1時間〜2時間のみ。こうやって勉強の時間を確保していきます。お子さんはこれを望んでいますか?
また、働き方改革と言いながら、浮いた時間を授業や補習に当てていますので、むしろ負担が大きいです。教員視点からは、部活動の指導をしている方が実は楽だったりします。
他の学校にはない特色を出す
進学実績の向上以外にも特色を出そうと中堅私学は頑張っています。他の学校にはないような教育(語学やプログラミングなどの知識や専門職の技術、資格の取得など)や各種体験ができることで差別化を図り、募集の安定化を目指します。
特色推しだけならお子さんにとって負担は少ないですし、その特色が気に入って選んだことでしょうから、学校生活は充実したものになると思います。ただ、学校側の問題点として、時代のニーズに合わないと一気に不人気になるため、継続させることが難しいです。新しいコースを作っては無くすことを繰り返す学校はこのケースが多いです。
営業に次ぐ営業!
これは中堅私学の運命(さだめ)です。生徒やその保護者だけでなく、中学校や塾に激しく営業をかけます。
学校を知ってもらうことも大切ですので、生徒保護者に対してはイベント系で攻めます。オープンスクールなどはその一環で、イベント的なものに仕立ててお祭り感覚で参加してもらおうとするものもあり、芸人を呼んで集客につなげる荒技もあります。もちろん、参加者にはお土産もあります。
次に中学校や塾に出向いてパンフレットを置かせてもらったり、ポスターを貼らせてもらったりします。また、担当者には生徒に学校を紹介してもらえるように営業をかけます。
これらの営業には多額の費用がかかりますので、学校経営を圧迫します。このしわ寄せは生徒募集に関わらない人件費の縮小などで乗り切ろうとするので、タチが悪いです。
ちなみに、この業務は教員の仕事である学校がほとんどです!もちろん1回では飽き足らず何度も行います!本業の合間に行きますので、大変ですよ!中堅私学の採用試験を受けようとする人は覚悟しておいてください!
何のために教員やりたかったんだっけ・・・。
常闇
塾とはズッ友だよ!
中学受験で密かに行われる裏技です。これは一般教員が踏み込めないさらに深い闇。
真相は不明ですが、塾と異様なまでに仲良しで癒着を疑う学校があります。とある塾から安定して生徒が流れてくるので、学校は塾との良好な関係に努めています。繰り返しますが真相には踏み込めない圧倒的な常闇です。
最後に
中堅私学は生き残りを賭けて、日々努力しています。中には魅力を感じるような学校もあり入学を考えるかもしれません。しかし、実際に学校に通うのはお子さんです。中堅私学はどこかで無理をしている学校が多く、その歪みがどこかに表れているものです。学校の良い点をしっかり享受できるように、お子さんの性格や目標、希望にあった学校を適切に判断していただければと思います。