子どもの小学校を探しているんだけど、公立だけじゃなくて私立もあるし、数も多いから探すのが大変!
そうですよね。ほとんどの小学生は公立小学校へ通っていて、私立小学校へ通う児童は全国で僅か1%と言われています。
じゃあ、ほとんどは公立なんですね。うちも経済的に余裕がある方じゃないから公立かなー?
我が家にも未就学児がいますが、公立小学校に行かせようと計画しています。小学校を選ぶということは、住むエリアを選ぶことにむつながる重要な選択です。今回は、公立学校でも勤務経験のある教員の視点から、公立小学校と中学校の選び方について考えていきましょう。
学校によって教員の質は変わるのか?
やっぱり学校によって先生の質って変わるの?
先生の能力はほとんど変わりませんよ。でも、能力を発揮できない学校があります。
公立学校の教員は学校ごとに採用されるのではなく、教育委員会(大阪府内ですと4つに分かれます)が採用し、教員を各学校に割り振ります。さらには異動もありますので、定期的に人の入れ替えが行われています。そのため、教員の能力に個人差はありますが、流動的ですので、学校単位で見ればどの学校もほぼ変わりません。
しかし、その能力が発揮できるかどうかは別問題です。親としては「日々の勉強や学校生活をしっかり見てもらいたい。」と思うのですが、教員の時間は有限です。しかも、俗に言う「手のかかる児童生徒」に多くの時間を費やしています。より良い教育を受けようと思ったとき、手のかかる児童生徒へのサポートが十分にされていて、教員が教科の指導や生徒と向き合う時間が十分に確保されている学校を選ぶべきです。そういう学校は担任や教科担当任せにせず、+αで教員を確保しています。
地域柄は最重要
なるほど、先生の実力が発揮できるような学校を選べばいいんですね。
私が最重要だと思うのは、その学校がある地域柄です。小学校は学区制ですので、学校に来る児童に影響を受けやすいですから。
大阪府の一部の地域では、隣接校区に限り学校選択制がありますが、原則として住む地域によって小学校や中学校が決まります。その校区から来る児童生徒に最適な教育を提供しようと、現場の教員は奮闘するのです。極論ですが、トップレベルの小学生を集めれば、公立小学校でもトップレベルの私立小学校と同じレベルの授業はできます。(設備等の限界はありますが。)
すなわち、児童生徒の家庭環境や家庭教育のレベル次第で、学校の教育レベルは上下します。手のかかる児童生徒の多い・少ないはこの地域柄にかかっています。
親の年収と子どもの学力は比例する
家庭の教育レベルですかー。でも、そんなこと私たちに分かるんですか?
分かりませんよ!(キッパリ)
えっ!分からないんですか!
でも、予想はできます。それは親の年収です。子どもの学力は親の年収に比例するのです。
残念なことではありますが、これもまた事実です。(お茶の水女子大による研究「保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究(平成30年)」など)
そして、本人の学力と本人の年収も比例関係にありますので、またその子にも…。という感じで、負の連鎖は続きます。この負の連鎖を断ち切ろうと行政は頑張っているのですが、解決には至っていません。
学校の教員は、学校に通う生徒の学力レベルに応じて、授業のレベルを設定します。平均以上のレベルの教育を受けようと思うと、そのような家庭が多い地域を選ぶ必要があります。(現に北摂など、そういう地域の全国学力調査の結果は良好です。)ちなみに、より高いレベルの教育を受けたいと思うのならば、私立小学校や中学校が選択肢に入りますが、あまり背伸びしすぎると、子どもへの負担が大きいのでおすすめしません。(最上位校でなければ、授業のレベルは大差なし。)
私も、職業柄様々な地域へ授業見学や営業で出かけますが、地域によって差を感じています。追いつかない生徒のフォローで手一杯でなかなか進まない学校もあれば、生徒自身の自発的な疑問からどんどん学びが深まっていく学校もあります。
参考にすべきは、その校区の家賃や土地、マンションの価格
年収ですか。うちはそんなに…。
うちも、1馬力ですので、世帯年収はそんなにですよ。それに、コスパの良い地域はたくさんあるので!
でも、その校区に住む人の年収も、私たちからでは分からないのでは?
直接的には分かりません。でも、これも予想はできます。それは家賃や土地、マンションの価格です。これなら調べれば分かります。
前述の通り、校区の土地柄や親の収入が、学校の教育に関わってくるとは分かっても、それをどのように調べたらいいかが難しいところです。各家庭を訪ねて年収を聞くわけにもいきませんからね。そこで、参考になるのが、家賃や土地、マンションの価格です。
自分の住む場所を決めるとき、そこの価格は調べると思いますが、一緒に校区内の価格も調べると良いでしょう。駅から遠いなどの利便性が悪くなるにつれて価格は安くなりますが、極端に安い地域というものが存在し、そこには利便性以外の何らかのマイナス要因があるということです。また、公営の住宅も含め、価格が安い一帯があるということは、それ相応の年収の家庭が住まれるということですので、教育レベルにも影響があるでしょう。ただ、全くそういう一帯を含まないとなると、探すのが困難になるので、ある程度は許容範囲と考えましょう。
とはいっても、お金も有限ですので、住宅にお金をかけすぎるのも禁物です。現に、私は教育に熱心と話題の北摂に住むことを断念しました。(年収だけが原因ではありませんが。)ですので、この点は今後、コスパの良い地域を記事にまとめようと思っていますので、お待ちいただければと思います。
中学校選びのポイント
今は中学校のことはあまり気にしなくてもいい?
私立中学校に行かないのであれば、こちらも大切です。小学校選びの段階からしっかりと見ておきたいですね。
大阪府の一部では、中学校にも学校選択制がありますが、多くは通っていた小学校によって中学校が決まります。すなわち、小学校を決めた段階で中学校も決まってしまいます。2〜3校程度の小学校に通う児童が集まって、中学校1校になるというイメージです。中学から私立に通わせるという選択肢もありますが、友人関係もあり、大多数はそのまま公立中学校へという流れができています。ちなみに、大阪府で私立中学校に通う生徒数は、小学校からは増えますが10%弱です。
中学校選びでは、どんなことに気をつければいいですか?
やりたい部活動があるかということと、どこの小学校と一緒になるかということは確認しておきたいですね。
部活動
小学校時は学校選びに意識されることは少なかった部活動も、中学校からは意識されます。学校によって部活動の種類は様々で、やりたい部活動がない可能性があります。これはホームページ等で確認できるので、一度見ておくべきかと思います。
公立の中学校にも、強豪校と呼ばれる部活動で優秀な成績を収めている学校もあります。そのような学校では、部活動に熱心な指導者が指導にあたっています。高いレベルの指導を受けさせたいと思うのも親心ですが、公立の中学校には異動があります。お子さんが中学生になった段階で、その指導者がまだ在籍しているかは不明です。このあたりは、あまりあてになさらないほうが良いと思います。
また、小学校を選ぶ段階で子どもが中学校の部活動で何がしたいのかを決めるのは困難ですので、特にこだわりがない限り、ここはさほど考慮しなくても良いと思います。中学校にやりたい部活動がなくとも、学校の部活動に頼らず外部で行っているという例もたくさんありますので。
どこの小学校と一緒になるのか
こちらは結構重要です。同じ中学校区の小学校で、かなりのレベル差があるということはよくあることです。これは、前述のように、中学校の教育レベルに大きく関わります。似たような環境の学校どうしが一緒になると、落ち着いた学校生活が送れます。どこの校区と同じになるのかを調べて、その小学校の校区に対しても同様に調査することをおすすめします。
ちなみに、中学の教育レベルは高校入試に大きく関わります。これにはメリット・デメリットがあり、甲乙つけがたいところがあるので、各家庭で最適な判断をしてもらえればと思います。
中学校の教育レベルが高いときのメリット
まず、学校での日頃の授業のレベルが高く、より良いものになります。(逆に言えば、自分の子どものレベル次第では、付いていけないことも。)その他にも、入試面でメリットもあります。
大阪府の私立高校の入試では、中学3年の2学期の後半ごろから教育相談というものが行われ、受験予定校と受験可能かなどの相談が行われます。(教育相談の是非はありますが…。)そのときに参考にする資料は学校の評定であったり、校内で行われる実力テストの結果などです。高校側は、それぞれの中学校のレベルを把握していますので、それぞれの中学校で個別にボーダーを設定しています。このボーダーを上回っていないと、中学校での三者懇談や高校との教育相談で受験しても望みが薄いと言われます。
つまり、中学校の教育レベルが高ければ高校受験のボーダーが下がり、教育レベルが低ければ高校受験のボーダーが上がります。ボーダーが下がることで、受験可能な人数が増えますので、この点は十分に考慮すべき内容です。
中学校の教育レベルが高いときのデメリット
小学校では上位にいたのに、一緒になった小学校のレベルが高いため、自分のポジションが下がったとき、デメリットが発生します。自分より上位が増えるということは、自分の評定が上がりにくいということです。公立高校を受験するときは、学校での評定が重要になります。
昔は相対評価でしたので、レベルの高い中学校では評定が取りにくく、レベルが低い中学校では評定が取りやすく、それが問題となっていました。しかし、現在では絶対評価になっています。大阪府では、評定での学校間格差が起こらないようなチャレンジテストを用いた絶対評価が行われています。これにより、チャレンジテストの結果が良かった学校は、学校の評定平均を高くつけても良くなり、格差の是正を行おうとしています。
詳しくは、下記の資料を参照してください。
令和3年度大阪府公立高等学校入学者選抜における調査書評定の府内統一ルール等のお知らせ(大阪府教育委員会)
とはいっても、これだけで是正できるほど甘くはありません。どれだけ学校のチャレンジテストの結果が悪くても、上位にいれば最高の評定をもらえます。逆に、学校のチャレンジテストの結果が良くても、最高の評定をもらえるのは上位+αだということです。
高校入試だけを考えたときの、最高の条件とは?
自分の子どもにとって最高の条件とは、自分が上位に留まれるように、自分よりちょっと下のレベルがボリューム層でありながら、学校平均を大きく下げるような生徒がいないというのが、最高の環境です。ただ、中学時の子どもの成績を予測するのは困難ですので、無難に落ち着いて学習ができる小学校どうしが集まった中学校を選ぶと良いでしょう。
私も落ち着いた小学校どうしが集まる中学校を選びました。子どもを中学受験をさせるかは、小学校に行ってから考えます。
最後に
教員が暇そうにしているというのは、実は良いことです。それだけ問題も起こらず、仕事に余裕があり、生徒に向き合う時間があるということです。逆に忙しそうにしている教員が多い学校は何かしらの問題が多発しているのではないかと推測されます。進学させようとする学校とその地域についてよく調べて、お子さんにとってベストの選択をしてもらいたいと思います。
今後、地域別・路線別に子育ておすすめエリアを紹介していこうと思いますので、そちらも参考にしていただければと思います。