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特別支援学校教員の働き方(学校行事編)

特別支援学校の教員に興味があるんですけど、働き方って一般校と違うんですか?

公立の一般校と同じ雇用形態になるのですが、働き方は結構変わってきます。今回は特別支援学校の教員の働き方(学校行事編)をご紹介します。

注意

特別支援学校で勤務歴のある私の実体験をもとに話を進めていきますが、知的障害の生徒が中心の特別支援学校(小・中・高)の話です。また、当時とは状況が変わっている可能性もありますので、ご了承ください。

特別支援学校教員の働き方、日常編と授業編は以下の記事をご覧ください。

特別支援学校教員の働き方(日常編) 特別支援学校教員の働き方(授業編)

行事準備と後片付け

学校行事をやる上で準備は欠かせません。一般校ですと、ある程度生徒に準備を手伝わせるのですが、特別支援学校ではほとんど教員だけで行います。生徒会なども一応存在しますが形だけの組織ですので、企画運営は教員の仕事です。

生徒も一緒に準備する場合は、学年でも障害の程度が軽度で、指示に対してきちんと従うことのできる生徒だけを選抜して行います。そうでないと教員が準備で手が塞がっている間にトラブルが発生するなどのリスクがあります。行事の前日は遅くまで教員が残って準備にあたります。

後片付けも原則教員が行います。こちらも障害の程度が軽い生徒に手伝わせることはあるのですが、生徒に手伝ってもらうメリットよりもそれに伴うリスクの方が大きいので、生徒が帰ったあと教員だけで遅くまで片付けしていることが多いですね。

運動会

体育行事として運動会(体育大会)があります。一般校でしたら紅白に分かれて点数を競うことが多いですが、支援学校ではあまり点数をつけません。点数をつけたところで障害の程度が軽い生徒が圧勝するだけですし、勝負という概念自体が支援学校には相応しくありません。

様々な種目を通して生徒が運動している様子や、学年の演技(体操やダンス、マスゲームなど)で表現している様子を保護者に見てもらうという意味合いが強いですね

一般校であれば、運動会は体育科の出番というところが多いですが、支援学校の場合は教員全員で作り上げていく傾向にあります。結果として体育科の教員が前に出ていることが多いですが、学年の演技などは全教員が振付を覚えていますし、競技も全教員がサポートにあたります。

一般校のように生徒を観客席や教員席から応援したり、写真を撮ったりする時間はほとんどありません。常に前線で指導に当たることが求められます。

体を動かすだけあって、教員の肉体への疲労度はかなり高いです。

文化行事

文化行事には学習成果を動きなどで表現する学習発表会や1年間の学習展示物を展示する学習展示会などがあり呼び方は様々です。どちらも保護者が観にくる行事になりますので、用意は周到です。

学習発表会

学習発表会は生徒が話したり、動いたりする取り組みが選ばれがちです。そうなると劇のような感じで演出することが多いでしょうか。歌やダンス、セリフなどを交えながら構成していきます。

もちろん台本は教員で作成し、生徒の状態に応じてセリフの量や動きの内容を調整していきます。学年の担当者は学年の生徒の状態をきちんと把握し、適度な難易度の課題を設定しなければならないので大変な仕事です

練習は1ヶ月ほど前から始まり、直前期には学習発表会の練習ばかりになります。もちろん、学年の全教員が空き時間返上で練習にあたります。

発表自体も生徒のみで行うことは困難です。教員は黒子となって、生徒の裏に隠れてセリフやそのタイミングを教えたり移動の補助を行ったりします。また、自学年でなくてもた学年に応援に行き、照明などのお手伝いをすることも多いですね。一般校のように、本番は担任が観客席で眺めるなんてことはできません。

学習展示会

学習展示会は行事全体を統括する人もいますが、展示物については教員全員で準備にあたります。毎年ある行事ですので、学習展示会に向けて展示物となる作品を授業内で作っていきます。

実技系教科は作品になりやすいので学習展示会向きです。逆に体育や音楽は展示会向きではないので、運動会や学習発表会の方に力を注ぎます。ここは教科特性ですね。各学年の授業者は生徒に必要な力を身につけさせながら、学習展示会で栄える作品を作り出すために日々苦心しています

作品を作るのにもかなり時間がかかりますので、早い段階からの準備が大切です。

校外学習・宿泊行事

特別支援学校であっても校外学習や宿泊行事があります。行き先は様々ですが、比較的近場が選ばれる傾向です。宿泊施設や行き先も障害のある生徒への理解や協力が得られやすい場所が選ばれがちです。新規開拓するにも、一般校と比べて非常に労力が必要です。

移動はバスが多いです。スクールバスに慣れていることもありスムーズですし、貸切ですので他のお客さんに迷惑をかけるリスクもありません。電車移動のときもありますが、周りのお客さんに迷惑がかからないように細心の注意を払わなければなりません。支援学校あるあるですが、電車好きの生徒はかなり多いので、電車での移動だと大興奮です

宿泊行事だと、風呂の介助から就寝まで一緒です。休まる瞬間はほとんどありません。数名の生徒に対して教員を1人ずつ配置し、その部屋を担当することが多いですね。もちろん生徒と同じ部屋で寝ます

生徒を置いて教員で会議できるチャンスはほとんどないので、生徒が全員寝静まってから廊下に教員を数名配置して残りのメンバーで次の日の打ち合わせをします。

また、打ち合わせが終わったからといって全員寝ていいわけではありません。深夜に生徒が部屋を出てしまう可能性があるので、廊下には常に教員がいるように輪番で監視にあたります。輪番に寝坊したら迷惑がかかるので、結局寝れませんがね。

部屋の中でも窓からの脱出を試みる生徒もいます。扉の前や窓の近くでサムライのように片膝を立て、物音があったらすぐに動ける状態で座りながら寝ます。

夜も気が抜けないので、結局一睡もせずに宿泊行事を終えることも多いです。

また、おねしょなどのトラブルもあります。教員もその対策はしているのですが、生徒はさらにその上を行くので、朝は色々な部屋でトラブルが発生しています。そんなこともあるので、多少宿泊費が高くとも理解ある宿泊施設が選ばれます

入学式・卒業式

学校行事の初めと終わりは入学式と卒業式です。

入学式は在校生が参加することはあまりなく、式の練習もほとんどありません。また、教員自身新入生についての情報がほとんどなく、実際の生徒と接したことがほとんどない状態でのスタートです。そのため予期せぬトラブルが多発します。そのうち、生徒の特性を教員が理解してトラブルは未然に防がれるのですが、このときは致し方ありません。

入学式はサラッと流すだけのことが多いですが、卒業式は結構しっかりやります。答辞や送辞もありますし、在校生が見送る温かい卒業式になります。

入学式はほとんど練習がありませんが、卒業式はガッツリ練習します。多くの人が式に参加して、日ごろと違う雰囲気になり、パニックになる生徒も多いですからね。そうならないように在校生も練習に参加して全体の流れを覚えさせます。いきなり本番だと在校生もパニックになるので当然ですが。

卒業式が最後の行事です!今までの苦労もこの行事が終われば良い思い出です!

最後に

特別支援学校に詳しくない人にとったら、意外としっかりと学校行事があるように感じるのではないでしょうか。一般校と比較してもあまり行事の数は変わっていないことと思います。しかし、教員の負担は段違いです。常に臨機応変な対応を求められる、気の休まる瞬間がないのが特別支援学校の学校行事の特徴ですね。

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