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教諭・常勤講師・非常勤講師の違い(公立編)

今回は教員として働くための基礎知識として、公立学校の教諭・常勤講師・非常勤講師の雇用形態による働き方と待遇の違いをご紹介します。

教諭

雇用形態

教員採用試験試験を経て採用される正規雇用です。公務員になりますので、終身雇用です。初任校で4〜6年程度、その後は8〜10年程度で異動が行われます。副業は原則不可です。

働き方

フルタイムでの勤務になりますが、土日は休みです。しかし、土曜日に補習を入れている高校がありますのでその点は気をつけましょう。

初任者でも担任を持つ可能性があり、即戦力として仕事にあたります。分掌も2年目あたりから重役に当てられることが良くあります。一気に仕事を覚えなければならないので、大変だと思いますが、慣れてくるとほぼ例年同じことの繰り返しですので、余裕が生まれます

中学校や高校の場合は放課後の部活動があります。また、部活動の種類によっては土日も練習を行うこともありますし、試合もあります。部活動によっては休日のない日々を過ごすことになります。それでも最近は部活動の在り方を見直そうとする動きがあり、土日のどちらか1日は絶対休みにする、平日も休養日を設けるといったことが決められている学校もあります。

待遇

年功序列で徐々に昇給していきます。また、各種手当(住居手当・扶養手当・交通費等)も充実している方です。ただ、学歴から考えたらそこまで高給ということはなく、一般の公務員よりは若干いい程度です。むしろ残業手当の代わりに一律4%の教職調整額というものが付与され、勤務時間がどれだけ長くなっても一定額で変わりません。労働時間あたりの給料だと、一般公務員より安いこともあります

大阪府の場合、ボーナスは令和2年度実績で4.5ヶ月分が支払われています。退職金は60歳定年退職で2000万円を超えます。年収は役職なしの35歳で600万円前半首席の45歳で800万前後です。

私は地元では有数の進学校の出身です。高校の同級生は医者・看護師・弁護士・政治家など結構な高給揃いです。そんな中、教員を目指したのは初めのうちは失敗したかなとも思っていました。当時は同級生と比較すると、どうしても見劣りしていました。

常勤講師

雇用形態

教員採用試験を必要としない非正規雇用です。基本的に講師登録をして、採用を待つ感じです。産休代替なら産休が明けるまで、その他なら1年単位での契約になります。いつ契約更新を切られてもおかしくない状況ですので、受け身でいると毎年ハラハラです。結構あっさり切られるので、色々な学校を転々とすることになります。教諭と同様副業は原則不可です。

働き方

教諭と同等の勤務になります。違いはほぼありません。部活動の遠征を1人で任されることもあります。(大会によっては正規教員〈公立の教諭や私立の専任教諭〉でないとベンチに入ってはいけないというルールがある競技もあります。)

教諭との働き方での違いは、責任あるポジションに置かれづらいということです。分掌の重役や担任はまず教諭から埋めていきますので回って来づらい傾向にあります。それでも人手が足りないと回ってくるときはありますが、優先順位は低いです。

待遇

ボーナスや各種手当はありますので、待遇としては教諭に近いものがありますが、年収では教諭に遠く及びません。退職金も少額ですが一応出ます。

昇給はありませんが、契約更新ごとにちょっとずつ増えるので実質昇給のようなものです。しかし教諭ほどの上昇額ではありませんし、上限もあります。大体30代前半で頭打ちに合いますので、それまでに正規雇用を決めたいところです。年収は私の場合、20代中盤で400万前半ぐらいだったと思います。

はっきり言って、仕事量は教諭とほとんど変わらないのに給料は年齢が上がっていくにつれ差が大きくなるので、給料が仕事量に見合ってない感があります。望んで常勤講師のままでいる人は少ないのではないでしょうか?

コスパは最悪です。早く教員採用試験を突破して教諭になりたいところです。ただ、それが難しいのですが。不合格を積み重ねていくと、心が折れていきますので、教員採用試験を諦めて一生講師を貫く人もいます。

非常勤講師

雇用形態

教員採用試験を必要としない非正規雇用です。基本的に講師登録をして、採用を待つ感じです。常勤講師と同様、いつ契約更新を切られてもおかしくない状況ですので、何もせず3月を迎えると突然無職になる可能性があります。常勤講師とは違い副業はOKです

働き方

授業のみを行うことが契約ですので、分掌や学級担任はありません。そのため、授業が始まるまでに学校に来て、授業が終われば帰ってOKです。休み時間も拘束されませんが、授業準備に充てることが多いです。しかし、授業準備の時間は給料は発生しません。授業のみに集中できるというのが最大のメリットです

コマ数は相談によって決まりますが、コマ数は学校によりけりなところがあるため、自分はガッツリ入りたくても学校の都合でそうならない場合が多いです。

また、副業がOKですので他校の非常勤を掛け持ちしたり、空いている時間(主に夕方~夜)に別業種の仕事や塾の仕事をしている人が多いです。というか、よほどコマ数が入っていない限り、副業をしないと十分な給料が入らないので、もはや副業は必須レベルです。(本業は別で、非常勤講師を副業としてやる感覚の人もいます。

待遇

授業のコマ数に応じて給料が発生します。逆に言うと、授業をしなければ(できなければ)無給ですので、夏休みなどの長期休暇は給料が途切れます。また、休校で授業ができないと給料を貰えないので、このコロナ禍で問題となりました。

大阪府の場合だと、1回の授業あたりだと3000円弱になります。詳細はこちらから。ボーナスの制度もありますが、任用期間が6ヵ月以上かつ、週15時間30分以上の勤務時間が必要と結構ハードルは高めになっています。

扶養手当や住宅手当もありません。また、社会保険の適応範囲外ですので、国民健康保険に加入しなければなりません。待遇面では色々と手が届かないところがありますので、自分でやることも多く気を付けたいところです。

待遇面は悪いので、前述のとおり、副業・兼業をする人が多いです。時間を有効に埋めることができれば、教諭より高い収入を得ることも可能です。副業ができない教諭は頭打ちに空いますので、時間を武器に働けるのが非常勤講師の優位点です。もちろん労働時間は長くなりますが。

教員の授業という面で魅力は感じるが、分掌や学級担任はちょっとという人や、教員として働きたいが他の仕事もしたいという人には向いている働き方になります。

最後に

生徒から見れば、先生方の雇用形態なんてほぼ分かりません。なんか曜日によっては非常勤講師の先生をあまり見かけないな〜程度です。しかし、働く側からすれば大きな違いがあります。ぜひ自分に合った働き方をできる雇用形態で働いていただければと思います。

今回は公立についてご説明しましたが、次回は私立についてご説明しますので、そちらもぜひ参考にしてください。

専任教諭・常勤講師・非常勤講師の違い(私立編)

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