友達の子どもが私立中学校の受験するらしいんですけど、中学受験する家庭ってどれくらいいるんですか?
全国では約7%、大阪では10%弱ほどの中学生が私立中学校に通っています。割合としては少しずつですが増加傾向ですね。
思ってたよりは多いですね。私立中学校ってそんなにいいんですか?
私立中学校は多様化していて、様々なニーズに適応できるようになってきています。お子さんの意思を尊重した上での、中学受験はかなり有力な選択肢です。ただ、親の気持ちが入りすぎるとミスマッチになり、お子さんにとって良い選択とはなりません。では、中学受験について考えていきましょう。
中学受験する家庭って?
中学受験する家庭ってどんな家庭が多いんですか?
これは様々ですよ。ポジティブな理由からネガティブな理由まで。
両方教えてください!
まずはポジティブな理由から!
ポジティブな理由① 私立中学校に魅力的な学習活動・部活動がある。
私立中学校の生き残りを賭けた生存競争は激しく、各校特色を出そうとしています。それは学習活動であったり、部活動などです。最近ですとプログラミングや探究活動を押し出す学校が多いですね。でも各校やり過ぎていて、もはや特色ではなくなっていますが、公立中学校には無い魅力です。また、部活動では私立教員の移動がほとんどないこともあり、ハイレベルな指導を常に受けることができます。
特色のない私立学校は公立と変わりないですからね!しかも割高だし!
ポジティブな理由② よりハイレベルな集団で勉学に取り組みたい。
私立中学校には入試がありますので、学力が近い生徒が集まります。トップ校と呼ばれる上位私学になると指導内容もハイレベルに揃えることができるので、より発展的な内容に取り組むことができます。受験者のほとんどが合格するような学校でなければ、たとえトップ校で無くともお子さんのレベルに近い生徒が集まりますので、学習難易度も適したものになりやすいのが魅力です。
ポジティブな理由③ 高校受験のない環境で6年間育って欲しい。
私立中学校のほとんどは中高一貫校なので、高校への内部推薦があり、一定の基準を満たせばそのまま高校に進学できます。そのため、高校受験の心配をしなくて良いのが魅力です。高校受験のための学習時間を大学受験のための先取りに使うことができたり、課外活動を充実させることにも活用できます。
しかし、高校入試を経験していないということをデメリットと考えることもでき、高校進学時に内部進学組と高校受験を経て入学した高校入学組では、高校入学組の方が圧倒的に好成績ということはよくあります。さらに、大学がついてない系の中高一貫校であれば大学進学時に苦労します。
ポジティブな理由④ 行きたい大学の系列校であり、内部推薦制度がある。
このパターンは先ほどの「ポジティブな理由③」のデメリットを打ち消します。学校内の基準さえクリアすれば大学進学もできますので安心です。これで、中高6年間を部活動などの課外活動に使うことができるので、充実した学校生活を送ることができます。ただ、学歴は見栄えが良くなっても、大学内で進級できるかは別問題なので、そこは本人の実力が試されるところです。まじめにコツコツできるタイプなら大丈夫でしょうけど。
注意点として、大学への内部推薦制度はあっても、大学に行きたい学部がないということあります。この場合、内部推薦を使わずに、外部受験することになります。中学受験のときに、進みたい学部まで決めることは困難ですので、そこまで心配しなくてもいいかもしれませんが。
次はネガティブな理由を!
ネガティブな理由① 校区の公立中学校にやりたい部活動がない。
中学生にもなると部活動が活発に行われるようになり、生活の一部と化します。しかし、どうしてもやりたい部活動が校区の中学校にないことはよくあります。そこで、外部のチームに所属するか、やりたい部活動がある私立に行くかという選択肢になります。私立学校によってはかなり力を入れて指導している学校もありますので、大会結果などを参考にしてもらえればと思います。
ネガティブな理由② 校区の公立中学校に馴染めそうにない。(小学校での人間関係など)
公立中学校には、その校区の公立小学校の児童が進学することになります。つまり、小学校で起こった人間関係のトラブルを中学校でも引きずってしまいがちです。人間関係をリセットし、気持ちを新たに中学生活を送りたい家庭に私立中学は選ばれています。
ちなみに偏差値帯の低い私立学校の生徒は早生まれ(1月〜3月生まれ)の生徒が多い傾向になります。これは、小学校段階では早生まれのビハインドが大きく、学力面や体格面、言葉の発達などで遅生まれの生徒と差があります。これによって自己肯定感が低くなったり、いじめなどの人間関係のトラブルになり、環境を変えたいと私立学校を選択することによって起こります。クラスの生徒のほぼ半分が早生まれなんてことも見たことがあります。
ネガティブな理由③ 校区の公立中学校が落ち着いて学べる状態にない。
残念ながら落ち着いた学校生活が送れない中学校が存在します。たとえ、通っていた小学校が落ち着いていたとしても、校区内の別の小学校が落ち着いていないと、中学校も落ち着かなくなります。こんな状態だと、まともに授業を受けることも困難です。校区の公立中学校がそういう状態だと思ったとき、回避する方法は中学受験になります。
中学受験の注意点
なるほど、様々な理由で中学受験に至るんですね。
各家庭、色々な背景があり、ニーズも様々ですからね。公立はどこも大差ないんで(むしろ公立は差をつけるべきではない)、私立学校の多様化はそういうニーズを満たすためには必要です。
では、中学受験をするときの注意点はありますか?
何点かありますが、最重要はお子さんの意思ですね。
親の思いと子どもの思いを一致させる
親はしっかり勉強させたいと思って、勉強に力を入れている私立中学を選んだが、子どもはそんな気はなく、勉強ばかりの日々に嫌気がさす。クラブ活動や行事などで青春を楽しみたいのに。進学実績を伸ばそうとする私立学校でよくみられる光景です。
このあとは夏休みあたりで、「地元の公立の友達と遊んで楽しい」→「不登校」→「実は公立に行きたかった」→「退学」というのはよくある話です。こうならないためにも、しっかりとお子さんの希望を確認しましょう。特に、どういった学校生活を送りたいのかを確認することは必須だと考えています。
教育面では、大学への内部進学がない私立は公立と大差ない
大学への内部推薦がないということは、指定校推薦を除き、自力で大学受験をするということです。公立中学校では幅広い学力層の生徒がいましたが、公立高校には入試があるので、学力が近い生徒が集まります。公立側も大学受験に向けてかなりの対策をしてきます。特に大阪では、学力トップ層の中学生の公立志向は強く、公立高校にかなりの層が集まります。私立高校側はこういった層とも戦わなければなりません。
ちなみに、「公立高校+塾」にするか「私立高校で塾なし」かみたいなことを考える方もいると思いますが、私立に塾の役割を求めてはいけません。多くの学校にそんな余裕ありませんので。ですので、自力で勉強できない生徒にはさらなる出費が必要になります。(学校内で塾の役割を果たそうとする私立学校はあります。しかし、外部委託のため別途料金がかかったり、無料だが教員がオーバーワークで疲弊している学校だったりします。)
私立学校に塾の役割を期待するな!とは言っても、学校の設備面では私立の方が良いことは確かです。トイレも綺麗ですし笑。私も良く生徒に対して私立の良い点を聞いたりしますが、トイレの綺麗さはいつも上位にいますね。たかがトイレ、されどトイレ。毎日使うものが綺麗で清潔というのは良いことです。
また、特色を出そうと各私立学校がしのぎを削っていますので、特色ある部分の施設はかなり充実しています。探究活動に力を入れていれば、実験室が充実していたり、発表に力を入れていればホールなどの施設が充実しています。運動面で力を入れていれば、体育館が広かったり、トレーニング施設があったりと豪華になっています。
反面、力を入れていないところは公立よりも劣るところがあります。特に体育面では公立の方が優れていることが多くあります。特に土地が高い地域(大阪市内の環状線内側など)ではグラウンドや体育館の大きさにおいては、公立の方が広いということが起こりますので、一長一短です。
筆者の子どもが私立中学校を受験するなら
ちなみに、ぱぱてんてーのお子さんは中学受験を考えているんですか?
一応、選択肢には入ってますよ!ただ、あまり積極的ではありませんし、子どものやりたいことを尊重したいと思います。
具体的にどんなことを考えていますか?
公立中学校のことまで考えて小学校選びをしたので、特に何もなければそのまま公立中学校へ。中学受験するとなったら、大学への内部推薦がある私立中学ですかね。
それはなぜですか?
中学高校時代って勉強以外にもやるべきことってあるじゃないですか。例えば部活動とか。それをしっかり両立できる、時間のゆとりがあるような私立中学なら、勉強以外のことも精一杯やりながら大学にも行ける。
それに、そういう学校って実はコスパが良いんですよ。学校の勉強を頑張っていればいいんで、塾代もかからないケースが多いですし、大学受験の併願で何十万もの受験料やキープのための入学金を払う必要がないんで。
でも、さっき行きたい学部がないかもって言ってませんでした?
確かにそのリスクはあります。なので、少しでも選択肢が広がるような、文系学部も理系学部もあるような総合大学系列がいいですね。それでも行きたい学部が無かったら、腹を括って外部受験です!
最後に
今回は私立中学について考えてみました。私立中学を受験する背景は様々です。そして、学校の方針とお子さんの思いがミスマッチだと、親子と学校の三者にとって不幸なことです。親子で将来のことをしっかりと見つめ、お子さんのより良い成長を促してくれる学校を選んでもらえればと思います。