私立学校って、中学がある学校とない学校がありますよね?。働き方に違いってあるんですか?
中高一貫校か高校のみの学校の違いですね。ええ、同じ私立学校という括りですが、働いてみると結構違いがありますよ。
へーそうなんですね。気にせず採用試験に応募するところでした。
では、今回は私立中高一貫校と私立高校の働き方の違いをご紹介しましょう!
よくある私立学校の運営形態
- 小学校+中高一貫校
- 中高一貫校
- 高校のみ
主にこの3パターンですね。教員免許の加減で小学校も持っている法人も、小学校+中高一貫校のように分けて運営していることがほとんどで、教員も別々で採用されます。小中高3種類の免許を持っている人はそんなに多くないですからね。
最近は、多くの学校で中学の募集と経営に苦戦していますので、中学の募集を停止し、高校のみに専念する学校が増えてきています。
筆者が働くならこの学校!
まずは私の結論から。給料や立地などの条件が同じで、両方の学校から内定をもらっているのであれば、私は中学のない私立高校を選びますね。最大の要因は業務の少なさです。では、それぞれの学校のメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
私立中高一貫校と私立高校の働き方
私立中高一貫校に勤務する魅力
私立中高一貫校の最大の魅力は、6年間を通して生徒の成長に寄り添えることです。生徒の成長は早く、3年間であっても様々な成長を感じることができますが、6年間となると、かなり長期間の指導計画を立てれるので、より育成したい力を伸ばすことができます。また、学校によっては6年間学年団をほぼ固定しているところもあり、6年間責任を持って指導にあたろうとする意気込みを感じる学校もあります。
しかし、多くの学校は6年どころか3年間すら固定できない学校がほとんどですので、6年間同じ生徒を指導し続けることはあまりありません。部活動であれば顧問はほとんど固定ですので、生徒が別の部活動に移らない限り、6年間指導し続けることは可能です。
体育や部活動の場所問題
中高一貫校ですと体育館やグラウンドなどを中学と高校で共有していることが多いです。そうなると体育の授業や部活動で場所の奪い合いになってしまい、思い通りに練習ができないことが多々あります。これが中高一貫校のデメリットです。
逆に高校のみの場合は、団体数が減りますので場所問題はあまり起こらず、しっかりと練習時間と場所を確保できるのがメリットです。公式戦の会場校にするのにも調整がしやすいですね。
授業
中高一貫校の場合ですと、単純に中学内容と高校内容の両方を指導できることが求められます。中学内容を指導すること自体は苦ではありませんが、1年間で複数種類の授業をしなければならない確率が高くなります。特に中学校のクラス数が少なかったり、1教科の単位数が少ないと複数学年の授業を持ったり、中学と高校の授業を両方持たなければならないことが多々あります。こうなると授業準備が複数種類必要になるので労力が格段に上がってしまいます。
私の経験では中1・中2・高1・高3×2コースで合計5種類の授業を用意しなければならないときがありました。コマ数的には一般的な量でしたが、ここまで種類が多くなると準備が追いつかなくなります。
高校のみの学校は1学年の人数も多くなりやすいため、1つの授業を何クラスもすることができ、授業準備が格段に楽になります。多くても2種類の授業を準備するだけでいいので、自転車操業には陥りにくくなります。
中高一貫校でも、中学生の人数が多くコース分けをしていないような多クラス展開だと、授業の種類は少なくてすみますよ!
教員数と事務職員数
中高一貫校だからといって教員数や事務職員数が多いわけではありません。その人数を決めるのは学校全体の生徒数です。学校の敷地が有限な以上、生徒数の上限は決まってしまいます。中高一貫校はその上限を割り振っているだけですので、規模が同じであれば中高一貫校と中学のない私立高校で教員数や事務職員数に大きな違いはありません。
また、部活動の数は教員数に考慮されていることは少ないので、中高一貫校で部活動の数が増えたとしても教員の数は増えません。少数の教員で部活動を指導しますので休みは取りにくく、同じ競技であれば中学と高校の顧問を兼任することもよく見られます。
行事や入試業務
単純に中高一貫校の場合ですと行事や入試業務の負担が倍になります。ただでさえ大変なことを2回する、もしくは規模を2倍にするのはかなり大変なことです。中学と高校でうまく分担できれば良いのですが、前述の通り、教員数が特別多いわけではありませんので、多くの学校では同じ人がその業務を担っています。行事や入試業務が倍になったからといって、手当が倍になるとは限りません。(学校によっては2回入試手当をくれる学校もあります。)
ちなみに、入試の日と採点の日は学校は休みになります。中高一貫校の場合、その休みも倍になりますので、生徒にとっては嬉しいです。中高一貫校の3学期は意外と授業数が少ないです。
会議
中高一貫校の場合、学年会議と職員会議の間に中学部会や高校部会(学校によって呼び方は様々)がプラスされます。学校によって会議の頻度は違いますが、毎週会議を必要とする学校だとかなりの負担になります。毎週1時間だったとしても授業が1コマ増えるのと変わりませんからね。しかもコマ数が増えたからといって、こちらは特別給料が出るわけではありませんし。
生徒指導
中学生と高校生では圧倒的に中学生の方が問題が発生しやすく、生徒指導の回数は多くなります。この指導にかかる時間は長く、もともとの仕事+αで乗っかってきます。これを教員の醍醐味と考えることもできますが、同じ給料をもらっているのであれば、指導することなく平和に過ごしたいと私は思います。
高校で生徒指導が無いわけではありませんし、高校の場合ハードな内容なものが多くなります。しかし、精神年齢が上がり、ある程度忖度ができたり、自分たちで解決できる高校生の方が扱いやすく、最悪退学という選択肢がある高校の方が何かと楽です。
学力
中高一貫校の方が先取りやじっくり指導ができるので学力面で優位そうですが、実際はそこまでの優位性は感じません。むしろ、高校から入学した生徒の方が学力が高いことの方がほとんどです。
ごく一部の内部生は高校入学組よりも光るものを感じますので、その原石を大事に6年かけて磨け上げていきます。そして、その生徒が大学受験で爆発的な成果をあげてくれるのです。もちろん、その他の生徒をぞんざいに扱うわけではありませんが、ピグマリオン効果で手厚くなるのは否めません。
教育心理学における心理的行動の1つで、教師の期待によって学習者の成績が向上すること。
最後に
「業務量が多少増えても、生徒の成長に長期間寄り添いたい!」という熱い想いがある方には、私立中高一貫校で働くことをおすすめします。6年間指導できればその達成感もひとしおです。
しかし、それ以外の方は業務量の少なさを優先して中学のない私立高校で勤務した方が何かと利点が多いです。公私共に充実させたいのであれば、中学のない私立高校がおすすめです。