仕事として重要なのはどれだけ安定な仕事なのか、そしてどれだけ自由なのかという点です。今回は学校教員の安定と自由についてのお話です。
学校によって、雇用形態によって安定と自由は変動する
学校教員とひとつにまとめることなかれ、学校教員と言っても勤める学校や雇用形態によってはかなり違うものです。今回は下の表のように、縦軸を安定度の高さ、横軸を自由度の高さとしてご説明していきます。
① 正規雇用の教諭・専任教諭
まず表の左上の安定度が高く自由度が低いポジションに位置するのが公立学校の正規雇用である教諭と、私立学校の正規雇用である専任教諭です。
毎日決まった時間に学校に出勤し、決められた仕事をこなします。給料はしっかりと支払われ、世間的にはやや高収入として扱われます。仕事を失うリスクが極端に低く、仕事ができない状態になってもある程度保障されているのが特徴です。その安定感から住宅ローンの審査などでは無類の強さを誇ります。
公立と私立を比較すると、安定度は公立の方が公務員として扱われるので上です。私立の場合は、学校の経営状況によっては給料が下がるリスクがありますし、最悪閉校まであります。現にかなり経営が怪しい私立学校は多くあります。逆に、常に志願者が多くいるような安定経営ができている私立学校の場合は公立のような安定度もあります。
反面、自由度は極端に低いです。働く時間と場所は固定ですし、人間関係も選べません。そして勤務時間が定められながらも、その時間に帰れることはほとんどなく長時間労働が常態化しています。自分の時間もほとんどなく、土日も部活動などで拘束されます。しかも、時間外労働に関してはほとんど給料が発生しません。さらには副業も原則禁止されているところがほとんどですので、時間のほとんどを仕事に注ぎ込むことを求められます。
② 非常勤講師
次に表の右下の安定度は低いが自由度が高いのが非常勤講師です。非常勤講師は公立学校・私立学校によって採用される非正規雇用です。基本的に決められた授業をこなせばOKですので、その他のことでは縛られません。
保護者対応や校務分掌をする必要もありませんし、授業の時間以外はフリーです。副業もOKですので、非常勤講師の掛け持ちや夜に塾で働くということも可能です。音楽系の人が本業の音楽の仕事ではなかなか生活できないときに、非常勤講師をプラスするということも多く見られます。嫌な学校であればサッと次の学校に移れば良いだけですので、自由度は高いです。学校は常に人手不足ですので、割とすぐに決まります。
安定面で心配事が多いのが非常勤講師です。基本的に契約は単年契約ですので、毎年職探しをする状態です。引き続き契約をしてくれれば良いのですが、そうとは限らないのが不安定なところです。それに収入面でも、授業単位で給料が発生するため授業数が少ないと給料も下がります。病気などで働けなくなった場合もサポートが薄いので、そういう面でも不安定さがあります。
③ 常勤講師
最も劣悪なのが、表の左下の安定度と自由度が低いポジションに位置する常勤講師です。学校教員の中でも最もデンジャラスゾーンにいます。
安定面では、正規雇用の教諭や専任教諭とほぼ同じ内容の仕事をこなしてるのに、給料は低く設定されていて昇給もほぼありません。それでいて、契約期間が決まっているので安定度においても劣ります。
自由面で見ても、教諭・専任教諭同様に常勤の仕事ですので、厳しく時間管理がされ副業も原則禁止です。不安定な立場に置かれながら自由も拘束されますので、タチが悪いです。総じてかなり危険な状態で働かなければなりませんので、この立場から一刻も早く脱出すべきと言えましょう。
④ ホワイト私学専任教諭 or 不労所得
図の右上のポジションにいるような教員は存在しないと思っていませんか?実は存在するのです。それがホワイト私学の専任教諭と不労所得のある教員です。
ホワイト私学専任教諭
まずホワイト私学教員についてです。激務と言われる学校業界ですが、私立学校の中にはなぜか仕事が少なくて、なぜか給料が良いという学校が存在します。
このような学校に勤めることができると、自由度は非常に高く、非常勤講師とあまり変わらないような働き方をすることができます。仕事量が少ないため、時間外の労働はほとんどありません。それに部活動顧問をしないという選択肢もありますし、就業規則によって副業も可能となっているところもあります。学校によって自由度は様々ではありますが、かなり時間にゆとりがある働き方ができるでしょう。
決まった場所で決まった時間働かなければならないので、フリーランスほど自由があるというわけではありませんが、学校業界においてはかなり自由度は高いです。
安定面でも正規雇用ですので、抜群の安定感です。ホワイト私学は経営がうまくいっている(生徒募集を頑張らなくても生徒が来てくれる)からこそのホワイト私学です。そのため、生徒募集にかける費用が少なく、授業料などの収入も確実に入ってきますので、しっかりと人件費として給料に充てることができます。給料も公立や他の私立より良いので、生活にもゆとりがあります。
40代の一般教員でも、公立の校長クラスの給料をもらえるのがホワイト私学です。
不労所得
ホワイト私学の専任教諭のさらに上を行くのが不労所得のある教員です。不労所得は不動産所得や株などの配当所得を指します。
この不労所得が生活費を上回ることができれば、給与所得に頼らなくても生きていける「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」と呼ばれる経済的自立をした状態になります。この状態になると、もはや教員という仕事は趣味になります。嫌な仕事、嫌な人間関係があるのであれば、自分から別れを告げることができるのです。
不労所得によって収入は働かなくても入る状態になるので安定度は抜群。働き方も自分の好きなような働き方ができるところを見つければ良いので自由度も高いです。
どうすれば右上に近づくことができるのか?
では、実際にどのようにすれば右上のゾーンに近づくことができるのかを見ていきましょう。
ホワイト私学ルート
まずホワイト私学ルートからです。ホワイト私学で働くためには図のどこからでもアクセスが可能です。とは言っても、正規雇用>常勤講師>非常勤講師の順で有利不利はあります。正規雇用の場合は今の職場をキープしたまま、ホワイト私学を受験できるので有利にはなります。
大事なのはどこの私立学校がホワイト私学なのかを見極める力と情報網、そしてコネです。ホワイト私学は退職者が少ないので、その学校がホワイトだという情報は流れて来づらい状況にあります。そして、退職者が少ないということは募集も稀であるということです。これらの情報を的確にキャッチする情報網が欲しいですね。
必須ではありませんが、コネもあるに越したことはありません。自身に絶大なアピールポイントや、他の志願者と比べて優れていることが明らかなのであればコネは不要です。しかし、ちょっとしたミスを挽回したいときや、実力が拮抗しているときに効果があるのがコネです。前述の情報網と併せて、日頃から幅広く交友関係を持ち、親密な関係になっておくというのは転職市場において非常に有利に立ち回れるポイントになります。
例えば10人と親しくなっていれば、その人に関わる10人にもコネが使えますので、合計100人以上にコネが使えます!教員の人脈の力は凄いですよ!
不労所得ルート
次に不労所得ルートです。不労所得ルートも図のどこからでもアクセス可能ですが、左下の常勤講師からのルートからだとしんどいです。
教諭・専任教諭はその経済力を活かして、ガンガン余剰資金を株式などに投資していきます。そして、配当金が生活資金を上回った段階で、退職するなり今いる環境が快適なのであればそのまま仕事を継続すれば良いと思います。教員の仕事はしたいけど、今の職場がしんどい場合は非常勤講師も視野に入れると良いですね。なお、不動産投資は副業規定に引っかかる可能性があるので規模に注意するか、そもそも手を出さない方が良いでしょう。
非常勤講師は副業が可能ですので、教員としての収入以外にもガンガン稼ぎに行きましょう。そしてその資金を同じく株式などに投資していきます。FIREを達成すれば緩やかに仕事量を減らしていけばOKです。
常勤講師は副業もできなければ、収入も安定しない状態です。正規雇用になるか、非常勤講師+副業ルート(リスクあり)に入るのが良いですが、ホワイト私学ルートにいきなりワープすることもできるので、ホワイト私学で専任教諭になることを目標に、他の学校での正規雇用を目指すのがオススメではあります。
私も常勤講師からいきなりホワイト私学に滑り込みました!
最後に
学校教員と言っても働き方は様々です。今の環境に妥協せずに、より良い環境で働いてみませんか!?